「患者の発見」「悪化防止措置」に対する体制整備・手順作成・周知が必要に
6月1日に改正労働安全衛生規則が施行され、各事業者に熱中症への対策が義務づけられました。
この改正は労働安全衛生法第22条および第27条での規定に基づくもので、具体的には「熱中症を自覚した際や恐れがある者を発見した際の報告体制の整備・手順作成・周知」「暑熱な場所で連続して行われるなどの熱中症を生ずる恐れのある作業を行うときの、熱中症の悪化を防止するための必要な措置(作業場所からの離脱、身体の冷却など)の内容および実施に関する手順作成・周知」が定められています¹。
熱中症は死亡に至る割合が他の災害と比較して約5~6倍と高く、死亡者の約7割が屋外作業で発症したものであることから、昨今の気候変動により増加する懸念があります。また、ほとんどが「初期症状の放置・対応の遅れ」で死亡に至っていることから、重篤化させないための適切な対策実施の必要性も指摘されています¹。
厚生労働省では「令和7年『STOP!熱中症 クールワークキャンペーン』」を5月から実施しており、その要項には「キャンペーン期間中に実施すべき事項」が挙げられています(表)²。
表 「令和7年『STOP!熱中症 クールワークキャンペーン』」キャンペーン期間中に実施すべき事項
ア 暑さ指数(WBGT*)の把握
イ 暑さ指数(WBGT)の評価
ウ 作業環境管理
(ア)暑さ指数(WBGT)の低減等
(イ)休憩場所の整備等
エ 作業管理
(ア)作業時間の短縮等
(イ)暑熱順化への対応
(ウ)水分および塩分の摂取
(エ)服装等
(オ)プレクーリング
オ 健康管理
(ア)健康診断結果に基づく対応等
(イ)日常の健康管理
(ウ)労働者の健康状態および暑熱順化の状況の確認
(エ)作業中の労働者の健康状態の確認
カ 労働衛生教育
キ 異常時の措置
ク 熱中症予防管理者等の業務
(文献2を参考に作成)
*【WBGT】wet bulb globe temperature:湿球黒球温度
- 1.厚生労働省:職場における熱中症対策の強化について.
https://www.mhlw.go.jp/content/001476821.pdf(2025.5.20アクセス)
2.厚生労働省:資料1 令和 7 年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施要綱.
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001478633.pdf(2025.5.20アクセス)