日々の看護業務のなかで感じるさまざまな悩み。内容によっては他職種に相談することで、すぐに解決するかもしれません。どんな状況で、どんな職種の人が頼りになるか、現場の声から考えます!
【第1回】リハスタッフとの申し送りが難しい!
【第8回】禁忌事項が多いMRI検査、何を優先的に注意すればよい?
【第10回】多職種を交えた食事介助は具体的にどうしたらよい?
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S.O.えすおー
薬剤師(Ph)
中小病院の薬剤師。療養病棟担当。徐々に嚥下機能が低下して、内服できなくなっていく患者さんにかかわることが多い。
ぽりまーぽりまー
薬剤師(Ph)
数年間のブランクはあるが、施設や個人在宅を中心的に担う調剤薬局で長らく働いている。日々、患者さんや家族、介護スタッフから服薬方法の相談を受けている。
●薬剤師(Ph:pharmacist)
院内のさまざまな場面で使用される医薬品に関する業務を担当する職種。最近は、病棟で見かけることも多くなっている、はず。ナースが普段感じている薬の使用感を裏づけるような、小話のネタをたくさんもっていることがある。
薬について医師に直接提案をしても、通らないことも多い……。そんなとき、どのように薬剤師に話をもっていくのがよい?
内科のナースです。薬に関して、日々悩んでしまうことがあります。
医師の指示で患者さんに内服してもらっていますが、高齢のため嚥下機能が低下している患者さんにたくさんの錠剤が出ていて、飲み込んでもらうのに一苦労したり、「この薬、変えてほしいって先生に言っているんだけど、変わってない」と患者さんからクレームを受けたり……。そのつど、医師には変更の提案や報告をしているのですが、あまり深刻に受け止めていないのか、変更されないことが多いです。
拒薬してしまう患者さんにも、ずっと拒薬され続けていて、これでよいのかなと思ってしまいます。薬に関して悩んだとき、薬剤師さんにどう相談すればよいのか知りたいです。
薬についての患者さんの思いを意味のあるケアにつなげるために
薬について患者さんの要望や思いがあっても、今ひとつ反映されない……。そんなときは薬剤師の出番です。誰にどんな情報をもっていって相談すれば意味のあるケアにつながるのか、病棟と薬局で働いているそれぞれの薬剤師に聞いてみました。
小さなことでも相談して! 課題は一緒に考えていこう
薬に関して悩んだときは、ぜひ薬剤師にご相談ください。どんな小さなことでも大丈夫です。なんなら、先輩には聞きづらいことをコソッと聞くのもアリです。医師や他職種への取り次ぎが必要な場合も、どう伝えたらよいのか一緒に考えましょう!
病棟薬剤師がいれば聞きやすいと思いますが、病棟薬剤師がいない現場だと、「わざわざ薬剤部門に電話するのもなあ……」と迷われるかもしれません。ですが、悩むくらいなら突撃してしまいましょう。ちょっとした疑問がじつは重要なものであったり、他の人も悩んだりしたけれど何となくやり過ごしていたことだった、というのは往々にしてありえます。
「それでもちょっとハードルが高い……」と思うときは、薬剤部門に処方薬を取りに行くついでに疑問をぶつけるのはどうでしょうか。
ちなみに、質問するときはその問題が発生している状況(患者さんの情報、注射薬の疑問ならルートの状態など)を一緒に伝えてもらえると、より具体的な回答ができると思います。ナースは薬剤師とは違う視点をもっているので、それを教えてもらえると、私たちとしても非常に勉強になります! ぜひ、遠慮なく聞きに来てください。
「薬を使用する患者さんがどう思うか」という視点を共有しよう
患者さんが薬を嫌がるとき、患者さんにとっての薬の必要性、期待される効果、リスクの大小を踏まえ、院内採用薬での代替・剤形変更、あるいは中止を医師に提案するのも薬剤師の役割です。
ただ、薬剤師がよかれと思っても、薬を実際に使用する患者さんがどう思うかは、まったくの別問題です。薬剤師はエビデンスや症例を見つけてくることは比較的得意ですが、それだけだと机上の空論に過ぎません。
そこで、患者さんを一番近くで見ているナースの視点が大いに役立ちます。患者さんが薬を嫌がる理由は何でしょうか。薬の種類が多くて面倒に思っていたり、飲みにくい薬があるのを言い出せないのかもしれません。
患者さんの拒薬は原因が多岐にわたり、対応が本当に大変だと思います。薬に関することで、患者さんに説明しづらい、話したけどうまく伝わっていなさそう……などと感じたら、まずは薬剤師にご相談ください。
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「薬をちゃんと飲んでほしい」という気持ちはナースも薬剤師も医師も、皆さん同じだと思います。少しでも思い当たる節や疑問点があれば、薬剤師にどんどんぶつけてみてください。
大事なのは、患者さんの希望や気持ちをくみ取って、可能なかぎりそれに寄り添う形で代替案を提案することです。患者さんが薬を実際に使うところまで落とし込んだ提案ができれば、医師の受け止め方も変わるかもしれません。薬剤師と一緒に、医師への報告・提案方法を考えてみませんか? 患者さんのよりよい治療のために、ナースの視点を薬剤師にも教えてほしいです!
この記事は『エキスパートナース』2021年12月号連載を再構成したものです。
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