日常的に行う末梢留置カテーテルの穿刺や管理について、それらを「なぜ行うのか」を解説していく連載。今回は薬液が滴下しなくなった原因について。患者さんの体位や末梢静脈ルートの屈曲など、閉塞のほかにもさまざまな要因があります。
薬液が滴下しなくなったときに「閉塞」と決めつけず、他の要因も検討する
●滴下不良の原因は「患者の体位」「ルートの屈曲」なども考えられ、それぞれに適切な対応が異なるため
薬液が滴下しなくなった原因は?
「薬液が滴下しなくなった=静脈留置針の閉塞」と短絡的に考えることには危険があります。同じように点滴速度をセットしても、さまざまな理由で滴下が速くなったり、遅くなったりすることがあるためです。
そのため、「患者さんの体位」や「関節の屈曲」「末梢静脈ルートの屈曲」「刺入部の状況」「点滴・三方活栓の数、状態」など、どこに原因があるのかを確認し、アセスメントする必要があります。
図1 薬液が滴下しない原因とその対応

①患者の体位
立位、仰臥位、側臥位など患者さんの体位により、静脈圧が変化し、 滴下速度が変化することがあります。体位を変えることで、滴下できるかどうかを確認します。
体位によって滴下速度は変化します。点滴は刺入部から輸液製剤の液面までの高さを80~100cm程度に保つことが、良好な滴下を促すとされています。
②関節の屈曲
関節付近や手背、足背など患者さんの動きが頻繁となる部位に静脈留置針が留置されている場合、関節の屈曲により留置針の先端が血管壁に当たり滴下しなくなることがあります。
なるべく関節を伸展させることが大切であり、場合によってはシーネを用いたりします。その場合、新たにシーネの圧迫による皮膚傷害を生じる危険があるため、皮膚の観察をこまめにしなければなりません。
また、少しテープの固定位置を変えたりすることで滴下良好となることがあります。
③ルートなどの圧迫と屈曲
静脈留置針の刺入部からルート、輸液製剤までを目視や触れながら確認し、圧迫や屈曲がないかを確認します。
複数の点滴を三方活栓等で接続している場合には、三方活栓の向きが閉鎖されていることがあります。同様に、ルートのクレンメが閉まっていることや、ルートが患者さんの身体の下で圧迫されていることもあるため、ルート全体を見渡して確認することが必要です。
④血管外漏出や留置針内腔の閉塞
静脈留置針刺入部の漏れ、腫脹を確認した場合は、ただちに薬液の投与を中止し、静脈留置針を抜く必要があります。
腫脹については薬液の種類、大きさ等によって対応方法が異なるため、状況を十分に観察し対処します。
また、血管外漏出がはっきりとはわからない場合や留置針内腔の閉塞については、点滴製剤と刺入部との落差を低くして、 血液の逆流の有無を確認します。留置針がきちんと血管内にあり閉塞していなければ、静脈圧によりルート内に血液の逆流が認められるからです。
この記事は会員限定記事です。

