日常的に行う末梢留置カテーテルの穿刺や管理について、それらを「なぜ行うのか」を解説していく連載。今回は薬液が滴下しなくなった原因について。患者さんの体位や末梢静脈ルートの屈曲など、閉塞のほかにもさまざまな要因があります。

薬液が滴下しなくなったときに「閉塞」と決めつけず、他の要因も検討する

なぜこうする?

●滴下不良の原因は「患者の体位」「ルートの屈曲」なども考えられ、それぞれに適切な対応が異なるため

閉塞時に確認したい「5つの確認ポイント」

 「薬液が滴下しなくなった=静脈留置針の閉塞」と短絡的に考えることには危険があります。同じように点滴速度をセットしても、さまざまな理由で滴下が速くなったり、遅くなったりすることがあるためです。

 そのため、「患者さんの体位」や「関節の屈曲」「末梢静脈ルートの屈曲」「刺入部の状況」「点滴・三方活栓の数、状態」など、どこに原因があるのかを確認し、アセスメントする必要があります。

図1 滴下しない原因とその対応

図1 滴下しない原因とその対応

①患者の体位

 立位、仰臥位、側臥位など患者さんの体位により、静脈圧が変化し、 滴下速度が変化することがあります。体位を変えることで、滴下できるかどうかを確認します。

 体位によって滴下速度は変化します。点滴は刺入部から輸液製剤の液面までの高さを80~100cm程度に保つことが、良好な滴下を促すとされています。

②関節の屈曲

 関節付近や手背、足背など患者さんの動きが頻繁となる部位に静脈留置針が留置されている場合、関節の屈曲により留置針の先端が血管壁に当たり滴下しなくなることがあります。

この記事は会員限定記事です。