人工呼吸器を装着している患者さんに行いたい、日常ケアとは?今回は気管吸引時の適切な吸引圧について解説。高圧吸引圧により引き起こされる合併症も紹介します。
Q. 気管吸引時の適正な吸引圧は?
Answer
成人の吸引圧は20kPa(150mmHg)が推奨されています。
安全域とされる吸引圧は?
吸引圧の安全域は、成人では20kPa(150mmHg)が推奨されています。
吸引カテーテルには「単孔式」と「多孔式」があります。多孔式気管チューブでは、 分泌物がすべての孔に接している場合には吸引圧は高くなりますが、分泌物が1孔でも接していないと低吸引圧となります。
例えば人工肺を用い、「10Fr」「12Fr」の2種類の吸引カテーテルで10秒間吸引したときに吸引される空気量を測定した実験(表1)1では、吸引カテーテルと人工気道の間に隙間がある(開放状態)場合には、10mL程度しかひけません(10Fr 100mmHgの場合)。逆に、吸引カテーテルと人工気道の間の分泌物により隙間がない状態(密封状態)では、同じ吸引圧でも大量に気道内空気を吸引します。 吸引圧が高ければより助長されます。
したがって、吸引圧は20kPa(150mmHg)程度に設定し、多孔式の吸引カテーテルを使用しましょう。
表1 2 種類の吸引カテーテルで10秒間吸引したときに吸引される空気量
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