がん治療を受けながら下降期を生きる患者さんについての研究結果をもとに、実践したいケアを紹介します。

【第39回】がん治療を受けながら下降期を生きる患者さん[前編]研究から明らかになったこと

病状が悪化する時期を生きる患者さんにとってのセルフケアとは何かを考えて支援

ケアのポイント

●患者さんの表情や言動から患者さんの体験を患者さんと同じ目線で理解し、症状に対処する方法を患者さんとともに考える
●患者さんのライフストーリーを共有する場や心地よいケアを提供する場をつくる
●患者さんの人生や家庭・社会での役割を踏まえた在り方を捉える

安定した関係性のなかで安らぎを得るための方法を見つけられる

 これまでの研究1-3をもとに、がん治療を受けながら下降期を生きる患者さんの「自己の回復」に着目したときの5つのケアを下記に示しました3

患者さんの「自己の回復」に着目したときの 5 つのケアと具体的な方法

①身体状態の悪化や他者とのかかわりによって揺らぐ患者さんの体験を理解することに専心する
・患者さんの表情や感情、言葉の意味を感じとる

②症状マネジメントが困難な患者さんのセルフケアを支え、見守る
・症状への対処方法を患者さんとともに考える
*患者さんにとって安心や平静を得る方法を患者さん自身が見出していくことにつながる

③患者さんのライフストーリーを共有する過程で、患者さんの意向を推察する
・つらい体験をどう乗り越えたかや、思い出を共有する

④人的環境やタイミングを調整しながら、患者さんにとって心地よいケアを展開する
・患者さんの好む会話やマッサージなどを行う
・自然と触れ合える機会をつくる

⑤患者さんの人生や家庭・社会での役割を踏まえた在り方が意識される瞬間を捉える
・患者さんの身体状態に合わせて、患者さんが望む在り方を確認する

(文献3を参考に作成)

①身体状態の悪化や他者とのかかわりによって揺らぐ患者さんの体験を理解することに専心する

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