9月に発売された『自立と生活機能を支える 高齢者ケア超実践ガイド』(前田圭介、永野彩乃 編、照林社発行)では、高齢者が直面する機能変化にスポットを当て、適切な評価とケアの方向性を解説。高齢者ケアにかかわるすべての専門職が活用できるガイドブックです。
今回は特別に試し読み記事を公開!テーマは「高齢者の転倒リスク評価」です。
転倒の要因
転倒の要因は、疾患や認知機能低下などの内的(身体的)要因と生活環境の外的要因、患者さんの「トイレに行きたい」、看護師を呼ぶことへの遠慮などの行動要因に大別されます(図1)。
また、それらの要因が複合的に重なっている場合も多くみられます。そのため、転倒転落アセスメントスコアシートなどを用いて、転倒予測を立てながら個別的なケアを実践することが転倒リスクを減らすことにつながります。
転倒リスクの評価方法
転倒リスクの評価は、患者さんの入院初日に行うことが転倒予防の第一歩です(表1~2)。
また、転室や転床、状態の変化、ADLの変化時などには、必ず再評価し、特に変化がない場合でも最低1~2週間ごとに再評価を行うようにしてください。さらに、転倒リスクは複数の要因が考えられ、1つだけでなく複合的な要因が重なって起こる場合も多く、広い視野から評価する必要があります。
医師は疾患ベースに患者さんをみている場合が多く、リハビリテーション専門職は残存機能、薬剤師は薬剤の作用から転倒をアセスメントしています。それぞれの専門職の視点からアセスメントしたことを情報共有し、転倒予防につなげることがとても重要です。
自立と生活機能を支える
高齢者ケア超実践ガイド
前田啓介、永野彩乃 編
B5・304ページ、定価:3,850円(税込)
照林社
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