9月に発売された『神経難病の病態・ケア・支援がトータルにわかる』は、神経難病のケアについてわかりやすくまとめた1冊。経過と症状に応じて患者さんをどう支えればよいのか、具体的に解説しています。
今回は特別に、試し読み記事を公開。テーマは「神経難病患者の療養行程」です。この機会にぜひチェックを!
症状を理解して看護を展開する:コミュニケーション機能障害
神経難病看護とは:「難病とともに生きる」を支えるために
「療養行程=病期」ではない
神経難病は、難病のなかでも進行のスピードが速く、症状の広がりを認め、個別性が大きいことが特徴です。
現時点では根本的な治療法が確立していませんが、医療や看護がかかわることで少しでも生活しやすくすることや、つらい症状をやわらげることはできるため、疾患特性や個別性に応じ、経過をふまえて課題を整理し、看護支援につなげることが重要です。
疾患によって、発症する年代も異なります。そのため、ライフサイクルをふまえ、長期にわたり、必要な治療や適切なケアを提供し続けることが、看護の重要な役割となります。
本書では、神経難病患者の経過を、療養行程(発症期、進行期、移行期、維持・安定期、終末期)として分類します。各時期の課題を整理し、現在どのような時期にあり、今後どのようになるか見とおしをもちながら、必要な看護を届けることが大切だからです。
「療養」とは、病気や障害を抱えている人が、医療を受けながら回復をめざして生活することです。「行程」とは、経過であり、道のりでもあります。
療養行程は、病状の進行を示す病期ではなく、進行期と維持・安定期を繰り返すなど、必ずしも時間軸には沿いません。また、療養行程の各期間は、同じ疾患であっても個別性があり、異なります。個別の経過は、身体的な面だけでなく、精神的な面や支援体制など、複数の要因に影響を受けるため、療養行程を用いて、広く専門的な視点をもって支援課題を整理していくことが大切です。
詳細な支援課題と看護については書籍で!
病期はあくまで「病気の進行」を示すものです。看護を考えるうえでは、どちらの視点も欠かせません。