重い障害を抱える女性・西田江里さんに12年間密着したドキュメンタリー映画『江里はみんなと生きていく』が10月下旬より公開されます。
 試写会に参加した編集部員が、映画の魅力や試写会の様子をレポートします!

障害はあるけれど、自分らしく生きてます──障害のある女性とその周囲の人の日々を映し出したドキュメンタリー

 映画『江里はみんなと生きていく』は、重い障害をかかえる江里さんと、その周囲の人たちの日々を映したドキュメンタリー映画です。江里さんは24時間365日の介助が必要で、母・良枝さんやケアスタッフの力を借りて自宅で生活しています。

 本作では、そんな江里さんの生活に12年間密着。楽しい暮らしぶりだけでなく、一人暮らしへの挑戦の様子や、腸瘻や気管切開など、新たな医療的ケアが必要になっていく不安や葛藤も映し出されています。

 ケアをする・されるという立場をこえて、「ともに生きる」関係性を築いている江里さんたち。それぞれの人生の局面にスポットをあて、その営みに生きる希望を見出したドキュメンタリーです。

 監督は、『妻はフィリピーナ』『もっこす元気な愛』で知られる寺田靖範監督。19年ぶりの最新作です。

『江里はみんなと生きていく』メインビジュアル。

「誰もが自分らしく、共生できる社会」をつくるきっかけに

 8月30日には都内で一般向けの試写会が行われ、多くの人が訪れました。

 映画の上映後は、寺田靖範監督、全国社会福祉協議会会長/元厚生労働事務次官の村木厚子さん、江里さんの母・西田良枝さんが登壇したトークショーを開催。「誰もが自分らしく、共生できる社会」をテーマに、登壇者が子育て・福祉にかかわって感じた「自立」「手を離すこと」や撮影時のエピソードなどについて話しました。

トークセッションの様子。左から、寺田監督、村木さん、良枝さん。

 「ほんとうなら江里さんが来られたらよかった」と話す寺田監督に、良枝さんは「この時間(※本イベントは午後6時半開始)はスタッフが少ないので難しい」と回答。江里さんが生まれた20数年前と比べると行政のサービスなどは格段に充実した一方、近所の人や地域とのつながり・助け合いが減っているように感じると述べました。

 中学までは地元の普通学級に通った江里さん。江里さんの所属するクラスはいつも明るく、団結力も強かったそう(幼少期や学校での様子を撮影した映像も映画内で見ることができます)。村木さんは、このように小さいころから「ともに生きる」ことで理解が深まり、共生関係を築くことができるのではないか、といいます。

 「映画をみて少しでも(困っている人を)手伝おうと思うきっかけになれば」と村木さんが締めくくり、大きな拍手のなかトークショーは終了しました。

 トークショー後には、フォトセッションも。カメラを構える参加者に対し、3人は笑顔で応じました。

フォトセッションの様子。

公開は10月26日!

 映画では、訪問看護師や病棟の看護師の姿も映されています。良枝さんが「医療が偉くて介護が下だとか思わなくていい」とケアスタッフに伝える場面もあり、医療と介護のつながりについても考えるきっかけになりそうです。

 『江里はみんなと生きていく』は、10月26日以降、ポレポレ東中野ほか全国の劇場で順次公開予定です。

『江里はみんなと生きていく』

監督:寺田靖範(『妻はフィリピーナ』『もっこす元気な愛』)
語り:西田良枝 音楽:飯田俊明 撮影:水戸孝造
題字:八田芝翠 プロデューサー:島田隆一 二見幸
制作:パーソナル・アシスタンス とも/おもしろ制作助成:三菱財団
配給・宣伝:おもしろ制作 配給・宣伝協力:JyaJya Films
ドキュメンタリー|2024年|日本|91分|DCP
UDCast対応作品 ©おもしろ制作

2024年10月26日よりポレポレ東中野ほか全国順次公開
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