患者さんの訴えから重大な疾患を見きわめて、すぐに対応するには?今回は胸痛を起こすキラーディジーズ「急性心筋梗塞」の症状やメカニズム、初期対応について紹介します。

急性心筋梗塞の症状

●胸痛、絞扼感、胸部不快感(20分以上持続)
●顎や肩、腕、心窩部などへの放散痛
●嘔吐、冷汗、低血圧
●肺野での湿性ラ音
●過剰心音(Ⅲ音)

急性心筋梗塞のメカニズムと特徴的な所見

胸痛は拾い範囲に及ぶのが特徴

 急性心筋梗塞では、胸だけでなく顎や肩、腕、心窩部など、広い範囲の痛みを訴えるのが特徴です。放散痛は、左腕や左肩だけに起こるのではありません。特に両腕に痛みが放散していれば、心筋梗塞の可能性を高めます1。また、心窩部への放散痛として、胃の痛みを訴える患者さんもいます。嘔吐や冷汗、低血圧などの症状があれば、急性心筋梗塞を見逃さないように注意します。

 一方で、急性心筋梗塞の可能性を低くする臨床的徴候についても把握しておきます。明確に1箇所、痛む点があるような場合は、心筋梗塞以外の疾患が疑われます(図1)。
 ほかにも、以下のような症状が陽性の場合は、急性心筋梗塞の可能性は低くなります1

①呼吸性で変化する胸痛
②鋭い、または刺すような痛み
③体位で変化する胸痛
④触診で再現される胸痛

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