患者さんの訴えから重大な疾患を見きわめて、すぐに対応するには?今回は呼吸困難を起こすキラーディジーズ「咽頭蓋炎」「緊張性気胸/気胸」の症状やメカニズム、初期対応について紹介します。
参考:【第13回】呼吸困難時のアセスメント:救急症候を見逃さないために
咽頭蓋炎の症状
●急速に進行する咽頭痛、前頸部痛
●嚥下障害
●吸気時喘鳴(stridor)
●流涎
●嗄声、こもった声
●発熱
*30~50歳代の男性に好発し、急速に窒息をきたす
咽頭蓋炎のメカニズムと、特徴的な所見
「咽頭痛」「唾液も飲めない嚥下痛」が特徴
喉頭蓋炎は、摂食時の損傷、糖尿病、喫煙、β溶血性レンサ球菌、肺炎球菌、ブドウ球菌などによって、リンパ組織が豊富な喉頭蓋舌面で急速に炎症が波及し、急速に腫脹をきたします。呼吸困難の症状に加えて、咽頭痛や唾液も飲めない嚥下痛が認められる場合、急性喉頭蓋炎を考えます。この2つの症状は、急性喉頭蓋炎の患者さんに高率で認められており、鑑別のための重要なキーワードとなります(表1)1。
表1 急性喉頭蓋炎の症状と出現確率
咽頭痛:91%
唾液が飲めない嚥下痛:82%
前頸部圧痛:79%
こもった声:32%
流涎:22%
stridor:27% *頻度は多くないものの、みられた場合の危険度は高い
気道閉塞:15%
発熱:26%
(文献1より引用、一部改変)
吸気時喘鳴(stridor)があれば危険度が高い
喉頭蓋炎は声門の上の炎症であり、こもった声や嗄声は声帯を塞ぐために起こる症状です。吸気時喘鳴(stridor)は27%で陽性と多くはないですが、出現している場合は窒息による気道閉塞に陥る危険が非常に高いため注意が必要です。
咽頭蓋炎での初期対応
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