「脳」と「麻痺」の基本と応用について解説!今回は麻痺のある患者さんがもつ合併症の1つ、嚥下障害が起こる理由について紹介します。

嚥下障害が起こる理由は?

 嚥下は食べ物を飲み込み、胃に送り込む運動のことを言います。この嚥下もまた脳の指令によって行われています。
 何か物(ここでは食塊とします)を飲み込むために、私たちは気管にある蓋を閉じなければなりません。その蓋が喉頭蓋図1)と呼ばれるものです。喉頭蓋は、食塊がのどのほうに送り込まれると反射的に気管に蓋をします。蓋がうまく閉じることによって、気管に食塊が入り込まないようになっています。

図1 喉頭蓋の位置関係

喉頭蓋の位置関係

 しかし、喉頭蓋がうまく閉まらず(反射せず)食塊が気管に入ってしまうと、「ムセ」と呼ばれる現象が起きます。ムセは、気管内に異物が入らないように行われる反射ですが、この反射もまた脳血管障害があると弱くなってしまいます。その結果、誤嚥性肺炎を合併してしまいます。

「嚥下」をみるときは「摂食」もみる

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