便秘には、ときには重篤化する病態が潜んでいることも。重篤な便秘の見きわめ方を知りましょう。今回は便秘を予防するための浣腸・摘便のポイントを紹介。それぞれの禁忌疾患・病態も確認します。
浣腸をする際の注意点
浣腸をする際、腸管の解剖学的な走行を考慮し、患者さんの体位は左側臥位にします。便がたくさん溜まっている場合(糞便塞栓)には、浣腸液が注入されずに漏れることもあります。浣腸前に直腸診を行い、便が溜まっている場合には摘便を行います。
浣腸カテーテルを挿入する際は、カテーテルに潤滑剤を塗り、6~10cmほどゆっくり挿入します(図1)。
図1 浣腸カテーテル挿入のめやす

浣腸液注入後は、約3~5分程度がまんするよう患者さんに説明します。 しかし、意識障害などで患者さんの協力が得られない場合は、浣腸液がすぐに排泄されることがありますので、肛門部に紙おむつなどを当てしばらく押さえる必要があります。
摘便のポイント
浣腸と同様に、患者さんの体位を左側臥位にします。看護師は示指を軽く屈曲し、直腸に貯留した便を体外に掻き出します。
無形便で粘調度が高い場合は、指の背に便を乗せるようにします。その際、示指の手掌側で肛門を広げながら指を軽く屈曲し爪側に便を移動させます(図2)2。
図2 摘便

貯留する便は必ずしも硬いとは限らず、ときに液状便が貯留していることもあります(図3、直腸の適応性弛緩)3。この場合には、示指で直腸を軽く圧迫することで直腸肛門反射が誘発され、噴水のように便が排泄されることもあります。
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