川嶋みどり 看護の羅針盤 第149回

　20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 （ライフサポート社、2020年）。　

　この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

　どのような患者であれ、看護師としてまず見なければならないのは、その人の可能性ということであろう。たとえ、脳外傷後の遷延性意識障害の患者であっても、見当識の低下している老人であっても、可能性をアセスメントすることが援助の方法を決定することにつながる。（中略）

　しかも、可能性に働きかける技術は、忍耐と持続性とチームワークが必 要であり、目に見える変化を、早急には期待できない。 したがって、 看護部門の意志統一や、 看護師相互の間で、その患者をめぐる看護観の交流、討論が必要となる。

（出典：『第3版 生活行動援助の技術ありふれた営みを援助する専門性』43ページ、看護の科学社）

そのほか「川嶋みどり 看護の羅針盤」の記事はこちら