これだけは気をつけたい看護ケアのポイントを取り上げます。今回は、カリウム製剤の急速注入や大量投与の危険性について。不整脈、心停止を起こす恐れがあり、十分な注意が必要です。医療事故を防ぐために、知っておきたいことを解説します。

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例えばこんな場合…

〈事例1〉医師の指示
●カリウム製剤をシリンジポンプによる持続投与の“つもり”で(投与方法を明示せず)ナースに指

〈事例2〉ナースの判断
●カリウム製剤の知識がなく、あいまいな理解のままカリウム製剤を準備
●薬剤ラベルの“要希釈”を“禁希釈”と見間違えた

〈事例1〉〈事例2〉のいずれも日本医療機能評価機構による医療事故情報収集等事業の報告書1に挙げられた事例の一部です。このようなときに、カリウム製剤(図1)を急速注入または大量投与してしまうと、高カリウム血症となり不整脈をきたし心停止を起こします。
 そのほかにも、カリウムの中毒症状には、呼吸麻痺、四肢麻痺、精神錯乱、脱力、低血圧等があります。

図1 カリウム製剤の一例

K.C.L.®点滴液15%(丸石製薬)

K.C.L.®点滴液15%(画像提供:丸石製薬株式会社)

アスパラ®カリウム注10mEq(ニプロ)

アスパラ®カリウム注10mEq(画像提供:ニプロ株式会社)

KCL補正液1mEq/mL

KCL補正液1mEq/mL(画像提供:株式会社大塚製薬工場)

アスパラギン酸カリウム注10mEqキット「テルモ」

アスパラギン酸カリウム注10mEqキット「テルモ」(画像提供:テルモ株式会社)

KCL注20mEqキット「テルモ」

KCL注20mEqキット「テルモ」(画像提供:テルモ株式会社)

細胞内外でカリウムのバランスが崩れ、心筋の運動に異常をきたす

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