20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

技術の進歩や機械の発達が
ほんとうに人間を
幸福にするかどうかの決め手は、
それを使う人間の責任でもある

 エレクトロニクスやコンピュータの開発は、とうとう病院医療のオートメ化という段階にまで及んできた。 省力化、スピード化、効率化、そして大量の情報収集と信頼性の高いデータという歌い文句は、70年代の幕明けとともに華やかに医療界におどり出た。それは、個々の国民の要求からというよりも、医療産 業界からの要請によるものであると言ってもよい。(中略)

 しかし、技術の進歩や機械の発達が、ほんとうに人間を幸福にするかどうかの決め手は、それを使う人間の責任でもある。 また、 人間の健康や病気の診断、 治療にとって、数量化できる情報以外の問題はまだ多く残されている。

(出典:『看護の自立 現代医療と看護婦』131ページ、勁草書房)

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