川嶋みどり 看護の羅針盤 第165回

　20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 （ライフサポート社、2020年）。　

　この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

　家族形態の変化にともない、 学生自身、 家族の病気や死別体験のない事実を踏まえて、闘病記や追悼文集、文学作品等からふさわしい教材を選択、人生についての洞察を深めると同時に、近親者や親しい人との死別のつらさと、悲嘆の修復の過程の個別性についての理解を人間的に深めることができるようにしたい。その上で学生自身の生命観を表現する試みを行う。

　そこで、教員がそのモデルを提示し、教員自身の言葉で生命観を表現する。私の場合は、息子との辛い死別体験をはじめ、ごく親しい友人との別れ、ならびに過去に出会った患者の死を通して到達した生命観――「人間の死の必然性を認めたうえで、生命を積極的に肯定する」ことを述べようと思う。

（出典：『看護の技術と教育 看護の時代３』36ページ、勁草書房）

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