20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。
多くの闘病記の中で
注目されることは
末期の患者の
食への執念である
経管栄養や高カロリー輸液にのみ頼るのではなく、嚥下ができる状態であれば、ごく少量ずつであっても経口的な摂取を重視したい。多くの闘病記の中で注目されることは、末期の患者の食への執念である。(中略)
例えば、胃癌で亡くなった妻の闘病を書いた夫の手記『看護本来の姿とは』には、(中略)「妻は“おまけの生”をレスピレーターによって39時間生きたが、家族の食事の工夫と援助で、週単位の延命が図れたとして、これを“看護延命”と名づける」という一節が記されている。
この場合、食事の中の栄養成分や、熱量の補給が延命につながったとは思えない。何でもいい、とにかく経口的に食べられたということが、彼女の生きる意欲につながったと見るべきではないだろうか。
(出典:『CHECK it UP② 日常ケアを見直そう あなたの職場の看護チェック』167~168ページ、医学書院)
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