6月11日、日本看護協会の令和7年度通常総会が千葉県・幕張メッセイベントホールにて開催されました。全国から集まった代議員による議決や、一般の会員も参加した意見交換等が行われました。当日の注目トピックについて紹介します。

2040年に向けた、 新たな看護の将来ビジョンを公表

 総会の開催に合わせ、「看護の将来ビジョン2040~いのち・暮らし・尊厳を まもり支える看護~」(以下、新ビジョン)が公表されました1。日本看護協会はこれまで、2015年公表の、2025年に向けた「看護の将来ビジョン~いのち・暮らし・尊厳を まもり支える看護~」の達成に取り組んできましたが、社会・医療の変容をふまえ、その変化に対して看護が進むべき方向性、そのために何をすべきかを示すべく、新しいビジョンが作成されました。

 2040年は、生産年齢人口の急激な減少と85歳以上の高齢者の増加から、日本の社会保障改革の次なる照準となる年です2,3。デジタル技術やデータの活用によるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の進展によっても、医療・介護のあり方が大きく変化すると予想されます。

 新ビジョンでは、看護職が2040年に向けて挑戦すべき目標として、表1の3点が示されました1,4。また、「あるべき看護の実現に向けた戦略」も同時に示されています(表21

表1 2040年に向けて看護がめざすもの

●その人らしさを尊重する生涯を通じた支援
経済や社会の変化、そして医療の進歩に対応しながら、予防・療養・看取りなど、人生のどの場面においても看護職の専門性を活かし、一人ひとりに最適な支援を行う
●専門職としての自律した判断と実践
生活の場で療養生活を送ることがあたりまえになるなか、的確なアセスメントや自律性の発揮により、その人にとっての最善となる支援をめざす
●キーパーソンとしての多職種との協働
看護職は、医療と生活双方の視点を備えており、多職種と医療とを結ぶキーパーソンである自覚をもって、人々のいのち・暮らし・尊厳を守る

(文献1,4を参考に作成)

表2 あるべき看護の実現に向けた戦略

●質の高い看護実践のための教育制度改革の実現
●より高い自律性を持った専門職としての活躍
●地域における看護の拠点の確保

(文献1より引用)

 一方で、めざすべき看護の実現は制度の整備だけでは実現不可能であり、「看護職自身のウェルビーイング」が重要であるとして、「看護職が活躍する基盤となるもの」も設定されました(表31

表3 看護職が活躍する基盤となるもの

●看護職一人ひとりのウェルビーイングの重視
●自己研鑽と主体的なキャリア形成の推進
●多様で柔軟な働き方への転換

(文献1より引用)

2025年度は「新ビジョンの周知を進める年」と定め、重点政策は昨年度方針を延長

 従来、3年の実施期間を見込み3年ごとに定められてきた「重点政策」について、本来であれば2025年度は新規の重点政策を定める年でした。しかし今年度に限っては、新ビジョンの周知を進める年と定め、2024年度の重点政策を1年間延長することとし、これに基づき重点事業が策定されました(表41

表4 令和7年度 重点政策・重点事業
令和7年度 重点政策・重点事業
(文献1より引用)
日本看護協会会長あいさつ2025通常総会
冒頭の会長あいさつでは、看護職のウェルビーイング向上への意気込み等が語られた
秋山智弥新会長(左)と、高橋弘枝前会長
選挙で選出された秋山智弥新会長(左)と、高橋弘枝前会長。秋山氏は、同協会ではじめての男性会長となった
1.日本看護協会:令和7(2025)年度 日本看護協会 通常総会要綱.
2.厚生労働省:2040年を展望した社会保障・働き方本部改革のとりまとめについて.
https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/000839724.pdf(2025.6.20アクセス)
3.国立社会保障・人口問題研究所:日本の将来推計人口―令和3(2021)~52(2070)年―(令和5年推計).
https://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/data/pdf/20230831.pdf(2025.6.20アクセス)
4.日本看護協会YouTube:「看護の将来ビジョン2040 ~いのち・暮らし・尊厳を まもり支える看護~」.
https://youtu.be/MHEhH8lxRVo(2025.6.20アクセス)