食事が尿検査に与える影響とは?尿糖が出現するメカニズムを確認しながら、看護師が知っておきたい尿検査の注意点をわかりやすく解説します。

「ベッドサイド検査手技の根拠」の連載まとめ

Q. 尿検査の「食後○時間後」設定、ずれたらどうなるの?

A.
数分程度のずれは問題ありません。

 尿検査で食事の影響を受けやすい項目は“尿糖”といわれています。健常人であれば尿中に糖が検出されることはほとんどありません(図1-①)。それは、腎臓の血液濾過装置である糸球体で血中の糖(ブドウ糖)は濾過され、原尿が尿細管を通過することで糖はほぼ100%再吸収され、尿中にほとんど出現しないためです(糖が微量に存在していても尿糖試験紙では検出不可)。

図1 尿糖出現のメカニズム

尿糖出現のメカニズム

尿糖が出現する病態とは?

 しかし、糖尿病患者のように血糖値が高い状態であると、尿細管ですべて再吸収することができず、尿中の糖が増加することで尿糖陽性となります(図1-②)。このように、尿糖陽性となる血糖値のことを尿糖排泄閾値といい、160~180mg/dLを越えると尿中に糖が増加します。

 尿糖は30分~1時間前の血糖値を反映するといわれます。しかし、糖尿病でも投薬によりたまたま血糖値が低下していたり、食前であったりする場合、尿糖は陰性となることがあるため、あくまでも補助的診断とされています。また、尿糖排泄閾値が低下することによって正常血糖値でも尿糖が出現する病態があり、これを腎性糖尿といいます(図1-③)。

尿検査に対する食事の影響は?

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