看護師の推測は当たっていなくてもOK

 「食事の時間は決まっているんですよね?」の言外にある “伝えたいこと” は、無数に考えられます。
「家族が帰宅するまでは食事をしたくない」「朝、起きられなくて、ご飯を食べられなかったらどうしよう」などです。

 では、患者さんの「食事の時間は決まっているんですよね?」に対して、看護師が「ご家族が帰宅するまでは食事をせず、一緒にいたいとご希望でしょうか」と推測したことを患者さんに確かめてみたとします。

 すると、「いや、急かされて食べるのは嫌なんだよね」と本当に伝えたかったことを答えてくれました。

 この例のように、人には間違ったことを正したくなる「間違い指摘反射」という心理的反応があるため、看護師の推測は外れていてもかまわないのです。推測したことを確認するやり方ができれば、この反射により「じつは○○が心配なんです」など、本当に伝えたかったことを患者さんから自然に引き出すことができます。

 ただ、患者さんの言葉の言外の意味がまったく想像できない場合は、上記の方法は使えません。こういった場合は、言外の意味を推測する力が身につくまで「何か気がかりなことがおありでしょうか?」と質問するのが適切でしょう。

ナースのための言い換え辞典【第2回】繰り返し尋ねられることを防ぐ

【ナースのための言い換え辞典】シリーズはこちら

この記事は『エキスパートナース』2022年4月号連載を再構成したものです。
当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。