急変を疑ったとき、ナースにできるたくさんのフィジカルアセスメントのなかから“本当にいま必要な3項目”を選べるようになりましょう。今回は“腹痛”を訴えているときの対処の第2段階。腹部の視診、聴診、打診、触診について紹介します。
【“腹痛”を訴えるときの対処の3ステップ】
Step1 OPQRSTに沿った腹痛の問診
Step3 重症度の高い血管性疾患を疑ってアセスメント
Step2 次に視診、聴診、打診、触診を行う
腹部は、触診や打診によって腸蠕動運動が増強することがあるため、視診、聴診、打診、触診の順に行います。
1)腹部の視診
①皮膚の色と色素沈着の有無
- 皮膚の全体の色の異常や、部分的な色の変化がないかを確認する。
- 黄疸がある→肝硬変を考える。
②静脈の怒張の有無
- 血管が部分的に隆起していないか確認する。
- 静脈の怒張がある→大静脈閉塞、門脈閉塞を考える。
③腹部の中央の観察
- 膨らんでいないか、膨らんでいる場合は全体的にか部分的にかを観察する。
- 全体的に膨らんでいる→ガス、腹水、便、腫瘍、胎児の可能性を考える。
- 局所的な膨らみ→腹壁ヘルニア、脂肪腫などの皮下腫瘍を考える。
- 上腹部の膨らみ→大動脈瘤、胃や膵臓の腫瘤、肝・脾・腎の増大を考える。
- 下腹部の膨らみ→膀胱・子宮の増大、卵巣・盲腸・S状結腸の腫瘤などを考える。
- 大動脈の過剰な動き→(腹部)大動脈瘤を考える。
2)腹部の聴診
この記事は会員限定記事です。