医療事故につながる可能性のある危険な薬に注意!今回は、カリウム製剤の病棟での管理法をお伝えします。病棟での定数確保の廃止と、プレフィルドシリンジ製剤の使用について解説します。
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カリウム製剤の病棟での管理で大切なことは、「病棟での定数確保の廃止」と「プレフィルドシリンジ製剤の導入」です。
現在、カリウム製剤の病棟の定数保管の廃止は世界的な標準対策であり、病棟での定数確保の廃止を強く推奨します。また、高濃度カリウム製剤については、アンプル製剤ではなく、プレフィルドシリンジ製剤の導入を強く推奨します。
病棟での定数確保の廃止
カリウム静注製剤の誤投与による事故が1990年代末より2000年代前半にかけて世界中で多発しました1,2。事故の主な原因は、定数配置薬からの使用に起因していることが指摘されました。
そこで病棟からカリウム製剤を撤去して、処方箋の発行により薬局から高濃度カリウム製剤と希釈すべき点滴をともに(可能なら混注をしたあと)払い出すという世界的に標準的な対策が普及し、事故報告が激減しました3。
定数保管の廃止は、薬剤の投与が必要な患者さんのみにカリウム製剤が請求されることを可能にします。つまり、対象患者を限定し明確にすることにより、ほかの患者さんへの誤投与のリスクを低減できます。また、カリウム製剤の病棟の定数保管の廃止とともに、以下の事項も事故防止に重要です。
●未使用となった静注用カリウム製剤はすみやかに返却する。
●既成の3号輸液(血清カリウム濃度が約20mEq/L)*の使用を中心とする。
*輸液500mL中に高濃度カリウム製剤KCL10mEq/10mLを1本混注するのと同じ。
●既成の輸液に高濃度カリウム製剤を混注する場合、高濃度カリウム製剤単独ではなく、必ず補液とともに輸液指示を行うことを処方医師に遵守してもらう(すでに使用して量が減少した輸液に追加混注すると、カリウムが高濃度になってしまう)。
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