PPPDの概要
●PPPDは3か月以上続く慢性の浮動性めまい
●バランス維持が 視覚と体性感覚に過度に依存して発症する
これまで診断のつかなかっためまいの多くがPPPDとされる
持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)は、3か月以上続く慢性の浮動性めまいを主訴とする疾患で、2018年改訂の世界保健機関(WHO)の国際疾病分類ICD-11に新規収載されました1。
これまで診断がつかない原因不明のめまいは「めまい症」と呼ばれてきましたが、その多くはPPPDであり、慢性めまいの原因疾患としては最多でした(図1)。
現時点ではPPPDと診断するための平衡機能検査や画像検査はなく、消化器疾患における過敏性腸症候群のような機能性疾患と考えられています。
元の疾患時の適応反応の持続が増悪原因
PPPDにおける視覚刺激や体動による増悪は、先行疾患による急性めまいに対して生体が適応反応(例:前庭障害後に姿勢制御を視覚優位へシフトさせるなど)を示し(図2-①)、当初あった急性めまい疾患が軽快した後も、同様の適応反応(例:視覚優位な状態での姿勢制御)が持続している場合、これが過剰適応となり、以前にはなかったささいな視覚刺激でめまいが誘発されるなどの機序が考えられています(図2-②)。
逆に体性感覚優位へシフトし適応し、それが残存した場合は、先行疾患軽快後に体動で悪化することが考えられます。
- 1.WHOホームページ:ICD-11.
https://icd.who.int/en(2024.8.2アクセス)
PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)の診断と治療法(2025年1月6日配信予定)
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この記事は『エキスパートナース』2021年1月号の記事を再構成したものです。
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