ヤングケアラーの現状と課題
●2020年に初の全国実態調査によると、中高生の約20人に1人がヤングケアラーであると推定
●最も多かったのが、「幼いきょうだいの世話」
2020年、全国から無作為抽出された中学・高校とそこに通う生徒を対象に初の全国実態調査が実施されました³。その結果、世話をしている家族が「いる」割合は、中学2年生で5.7%、全日制高校2年生で4.1%でした。
このことから、中高生の約20人に1人がヤングケアラーであると推定されます。その4割以上がほぼ毎日ケアをしており、平日1日当たりのケア時間は3時間未満が多いのですが、7時間以上という子どもも1割程度いました。具体的なケアの内容を表1に示します。
また、彼らの3割以上が学校を休みがちな状況にあり、高校2年生の2割は小学生のときからケアを始めていました。
世話をしている相手の続柄は、中高生ともに「きょうだい」と答えた人の割合が最も高く、次いで「父母」「祖父母」となっていました。その状態は「きょうだい」の場合は「幼い」と答えた人の割合が最も高く、「父母」の場合は「身体障がい、精神疾患、依存症(疑いを含む)」の順に、「祖父母」の場合は「高齢、要介護」の順となっていました。
- 1.こども家庭庁ホームページ:ヤングケアラーについて.
https://www.cfa.go.jp/policies/young-carer/(2024.2.14アクセス)
2.日本ケアラー連盟ヤングケアラープロジェクトホームページ:ヤングケアラーとは
こんな子どもたちです.
https://youngcarerpj.jimdofree.com/(2024.2.14アクセス)
3.三菱UFJリサーチ&コンサルティング:ヤングケアラーの実態に関する調査研究 報告書.
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2021/04/koukai_210412_7.pdf
(2024.2.14アクセス)
4.青木由美恵:私たち看護職が出会ったヤングケアラー.Nursing Today ブックレット編集部編:ヤングケアラーを支える 家族をケアする子どもたち。.日本看護協会出版会,東京,2021.
5.公益財団法人日本ユニセフ協会(Unicef)ホームページ:子どもの権利条約.
https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig.html(2024.2.14アクセス)
6.一般社団法人日本ケアラー連盟:ヤングケアラー・若者ケアラー(パンフレット).2015.
7.Ben Hogbin,Alison Cross:イギリスにおける“ヤングケアラー支援“ “Winchester Young Carers”の活動から.(尼崎市講演会:家族のケアを担う子どもたち“ヤングケアラー”への支援を考える〜イギリスの支援団体の取り組みから学ぶ〜〈2019年2月23日開催〉.の講演内容)
「見えない存在」「見えにくい存在」といわれる、家族をケアする子どもたちーヤングケアラー②
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この記事は『エキスパートナース』2022年2月号の記事を再構成したものです。
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