慢性呼吸器疾患(COPDなど)の終末期には、どのようなサインが現れるのでしょうか。病期分類や予後予測スコアなどを紹介しながら解説します。
非がん疾患の終末期の注意点
がんでは、「手術適応外」「化学療法の終了」「再発」などといった比較的明確な終末期へのメルクマール(指標)がありますが、非がん疾患では急性増悪と終末期の区別がつきにくいです。
そのため、医療関係者にも患者・家族にも「終末期」への認識が少なく、必要な病状説明や終末期に向けての話し合い(アドバンス・ケア・プランニング:ACP*1)などが先送りにされがちで、終末期に至っても原病の治療が優先された結果、患者さんの生活の質(QOL)を損ねてしまうケースもみられます。
治療においては疾患・病態別にそのアプローチは異なりますが、がん・非がんともに終末期には全身状態の低下とともに、頻度順に呼吸困難、嚥下障害、食思不振、喀痰、疼痛、咳嗽、褥瘡、不安、発熱などの多彩な症状を認めます1。
そのため、疾患の終末期の変化を踏まえた適切な時期に、症状を中心としたアプローチを行う必要があります。 また、終末期に向けた適切な療養の場の選定を心がけましょう。
*1【アドバンス・ケア・プランニング】advance care planning(ACP)。人生の最終段階における医療・ケアについて、本人が家族等や医療・ケアチームとくり返し話し合う取り組みのこと。愛称は「人生会議」2。
予後予測の精度を上げるには?
がんでは、終末期(約1~2か月)に急速に全身状態が低下するため、比較的予後の予測が容易ですが、「非がん性慢性臓器不全」では、初期から機能の低下を認めるもののその進行は緩やかで、予後の予測は困難です。(こちらの記事を参照)。
非がん疾患では、終末期にかけて急性増悪による入院回数が増える傾向があります。
そのため、予後予測の指標を用いた評価を入院ごとに行い、経時的に検討することで予後予測の精度を上げることができます。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病気分類
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露することなどにより生じる肺疾患であり、咳嗽、喀痰や呼吸困難といった症状がみられます。%FEV1(1秒率)*2によって、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期に分類されます3。
*2【%FEV 1(1秒率)】=努力肺活量(forced expiratory volume)の最初の1秒間の測定呼気量を予測量(年齢、性別、身長をもとにあらかじめ算出)で割ったもの。
COPDの病期分類
Ⅰ期:軽度の気流閉塞
特徴 %FEV1≧80%
Ⅱ期:中等度の気流閉塞
特徴 50%≦%FEV1<80%
Ⅲ期:高度の気流閉塞
特徴 30%≦%FEV1<50%
Ⅳ期:極めて高度の気流閉塞
特徴 %FEV1<30%
※気管支拡張薬吸入後のFEV 1 /FVC70%未満が必須条件。5 年生存率は、Ⅰ期で90%、Ⅱ期で80%、Ⅲ期で60%2
(文献1より引用)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の終末期のサイン
正確な予後予測は困難ですが、5年生存率はⅠ期で90%、Ⅱ期で80%、Ⅲ期で60%とされています4。予後予測スコアはBODE index(表1)5など複数提唱されており、それらを総合した1年以内死亡予測因子(下記「COPDの1年以内死亡予測因子」)を満たす症例について、緩和ケアの導入が推奨されています。
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