ややこしいと感じがちな動脈血液ガス分析(以下、血ガス)。まずは基準値を覚えて、みる順番をおさえましょう!ポイントを長尾先生がわかりやすく解説してくれます。
私たちが血ガスを“ややこしい”と感じる理由
ナースA 長尾先生、いままで血ガスのことをぼんやりとしかわかっていなかったような気がするので、あらためて勉強しようと思っています。……でも、どうしても“ややこしい”と感じてしまって、億劫な気持ちなんです……。
長尾先生 わかりますよ。かつては私も苦手でしたからね。
ナースA えっ……そうだったんですか???
長尾先生 今でこそ私は血ガスに関する研修なども担当していますが、学生のころから研修医になっても、血ガスにはずっと苦手意識があって、避けて通ってきたんです。だから逆に、そういう皆さんのお気持ちはよ〜くわかります。実際、そういうふうに感じていらっしゃる方は少なくないですよ。
ナースA よかったです……。とにかく“ややこしい”イメージなので、何から勉強したらいいのかわからなくなってしまって……。
長尾先生 なぜ皆さんが“ややこしい”“苦手”だと感じてしまうのか、その理由の1つに、呼吸の分野って、用語がたくさん出てくるんですよね。それがとっつきにくさの元なのかなと思います。
ナースA そうなんですよ! 「アシデミア」に「アルカローシス」……(アで始まる言葉ばっかり……)、それに「代償」などが加わったらもうお手上げです。
血ガスの型を覚えれば、 そんなに難しくない!
長尾先生 わかりますよ。でもですね、血ガスって要するに、「正常からどうはみだしているか」をみるかがポイントなので、そんなに難しいわけではないのです。
ナースA ……???
長尾先生 よく血ガスの基準値の一覧などがありますよね。まずは、それを手元に置いて覚えてください。覚えられないのなら、携帯して常に見られるようにしておけばよいです。
ナースA いまいち自信がないので、この際きっちり覚えておきます。
長尾先生 よい心がけですね。そして、血ガスには「みる順番」があります(図1)。つまり、血ガスをみる流れの「型」です。その順番に沿ってみていけばいいんです。
血ガスを読む順番の基本の型は、このSTEP1〜STEP3です。どうです?そんなにややこしくないでしょう? さて、次回から、「なぜこの順番なのか」「それぞれの段階で何をみるか」についてお話ししていきましょう。
ナースA 順番は意識してなかったかも……。いつも言葉と数値にアワアワしちゃって……。よろしくお願いします!
図1 血ガスをみる順番

この記事は『エキスパートナース』2021年7月号特集を再構成したものです。
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