代表的な不整脈の波形が読めるように、波形の読み方の要点をコンパクトに解説!今回は洞徐脈の読み方のポイントを紹介します。無脈性電気活動や房室接合部調律との見分けに注意を。
洞徐脈の特徴は?
洞結節から刺激が出る回数が少なく、心拍数がゆっくりの波形です。RR間隔は広く、幅は5マス以上(心拍数60回/分以下)です(①)。
そのほかは伝導系の異常はなく、P波、QRS波、T波は洞調律と同じ形をしています(②)。PQ間隔は正常(幅は1マス以内〈0.20秒以内〉)です(③)。
図1 洞徐脈の読み方のポイント


無脈性電気活動(PEA)、房室接合部調律との違いは?
似た波形で注意が必要なのは、無脈性電気活動(PEA)と房室接合部調律です。
PEAは心停止の一種で、心電図上は波形があるように見えますが、有効な収縮がない状態です。鑑別に役立つ特徴は、PEAでは脈が触れず、血圧が出ないことです。
房室接合部調律は、洞結節に代わって房室接合部から刺激が出ます。大半は薬剤が原因のため、薬剤の中止で対応します。
そのほかに、下記のような波形とも鑑別が必要です(図2)。
●PQ間隔が長くなったら⇒房室ブロック
●P波がハッキリせず、RR間隔がバラバラだったら⇒徐脈性心房細動
●ときどきP波が遅れたら⇒洞房ブロック
●P波の幅や形が変わったら⇒異所性調律*1
●その他の可能性⇒P波のみの心房期外収縮*2
*1【異所性調律】洞結節(sinus node)以外の心房筋から刺激が出る状態。
*2【P波のみの心房期外収縮】異所性P波が前の収縮の不応期と重なり、刺激が心室に伝わらない状態。P波が前の収縮と重なり、心電図上見えなくなり、心拍が1拍空いた(延びた)ような形になる。
図2 その他、鑑別が必要な波形

洞徐脈の場合はまず薬剤の影響を確認
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