日々進化する治療・ケアにかかわる用品がもたらした変化、活用する際の注意点などを紹介!今回はCVポートを取り上げます。患者の負担を軽減する利点や安全に使うためのポイントを確認しましょう。
注射の負担を軽減するために登場
患者にとって“痛い処置”といえば、現在でも「注射」が挙げられると思います。これは医療者にとっても同じで、いくら経験を重ねても、患者の年齢や体型、合併症など、さまざまな状況で難しいケースがあります。
栄養状態や全身状態が悪化し血管や周囲組織が脆弱な場合は特に血管確保が困難です。また使用する薬剤によっては末梢血管では痛み・血管炎を起こしやすい薬剤があり、投与に何時間もかかる場合には患者の生活も制限されてしまいます。
以下に説明するCVポート(完全皮下埋め込み式ポートつきカテーテル、図1)は、入院だけでなく、外来通院や在宅へ治療の幅を広げる手助けとなっています。
図1 CVポート

バード® スリムポート(画像提供:株式会社メディコン)
●一般的に多く使用されており、挿入がしやすい形状。特にスリムポートは、体の小さな小児や、上腕への挿入に適している

パワーポート®MRI isp(画像提供:株式会社メディコン)
●造影剤の高速注入も可能(造影検査が行える)
日常生活への制限はほぼなし、固定すれば両腕も自由
CVポートの特徴は、以下の2点です。
①リザーバーが皮下に埋め込まれている
②カテーテルが中心静脈に留置されている
リザーバーが皮下に埋め込まれるため外見的にはわかりにくく、穿刺や薬剤が接続されている場合以外は、患者の日常生活への制限はほとんどありません。
CVポート挿入(留置)の適応としては、以下の場合があります。
●化学療法が必要であるが両腋窩のリンパ節郭清術を受けている場合
●使用する抗がん剤が血管炎・血管痛を起こす可能性が高い場合
●長期にわたる化学療法の継続により血管確保が困難な場合 など
CVポート挿入には局所麻酔下での手術が必要です。
CVポートに穿刺する際には専用の針(図2)を使用し、固定を行えば両腕も自由に使えます(ただし、体の向きや動きによって針が動きそうな場合は注意が必要です)。
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