日々の看護業務のなかで感じるさまざまな悩み。内容によっては他職種に相談することで、すぐに解決するかもしれません。どんな状況で、どんな職種の人が頼りになるか、現場の声から考えます!

【第1回】リハスタッフとの申し送りが難しい!
【第11回】多職種連携でわからないことは、他職種に聞こう
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おおひらおおひら

理学療法士(PT)

新卒から総合病院で急性期~回復期までを経験し、現在は施設勤務のPT。多くの患者さんに対応するなかで、困ったときはいつもナースに助けてもらっていた。

すますま

作業療法士(OT)

大学病院にて働くOT。入院している患者さんの生活範囲を広げるべく、ナースとの相談、連携を行っている。ナースとは「困ったときはお互い様」の関係。

●理学療法士(PT:Physical Therapist)
リハスタッフの一員。主に寝返り・立ち上がり・歩行といった基本的動作能力の改善を図るため、筋力増強練習や歩行練習などを行う。

●作業療法士(OT:Occupational Therapist)
リハスタッフの一員。対象となる人々にとって目的や価値のある生活行為を中心として、応用動作能力や社会適応能力の向上を図るため、道具や環境の調整を含めた治療・指導・援助を行う。

患者さんの身体に直接触れる業務では、時に患者さんとのやりとりで負担を感じることも。患者さんにはどのようにアプローチをするとよい?

今回の相談

病棟勤務の看護師です。トイレや歩行訓練など患者さんに触れる場面で、「触らないで」「自分でやるから」と、患者さんから拒否されることがあります。病状によっては、介助の声かけが理解できないこともあると思いますが、歩行状態も不安定で、安全のためには身体に触れることは避けられません。リハビリテーションスタッフ(リハスタッフ)のみなさんは、特に身体に触れる機会が多いと思いますが、どのようなことに注意して介入しているのでしょうか。

リハスタッフに聞いた!ナースも実践できるコツ

 相談内容のように、患者さんから介助の拒否をされてしまうと、次に介入するときに躊躇してしまいますよね。そこで、業務のなかで患者さんの身体に直接触れる機会が多いリハスタッフが、ナースも実践できるコツを紹介します!

患者さん本人からの情報と、スタッフどうしがもっている情報を共有しよう

 PTとしては、「介助で不快にさせているところがないか」を普段から意識して、検討しています。触れる衣服や身体の部位、介助の力を入れるタイミング、声かけの方法……。これらを少し間違えるだけでも、患者さんにとって不快な介助になることがあります。

 患者さんに直接聞けるような場合には、「介助で気持ち悪くなるところはないですか?」「介助で痛くなるところはないですか?」などと確認し、原因を探してみましょう。
 また、ナースから直接聞きにくいような場合には、担当のPTから聞いてもらうように相談してみることも有効です。患者さんとしても、ナースの目の前では言えないようなことが、第三者である立場のリハスタッフにこそ言えることもあります。まずは検討しやすい介助方法を考えてみましょう。

 OTとしては、「リハスタッフが把握していない情報がまだ何かあるのではないか?」と考えるようにしています。例えば、以下の情報などを確認します。

  1. その人自身の性格や考え
  2. 1日以内に起きた出来事(直近で何があったのか)
  3. その人が認識している現在の状況

 もしかしたら「今回の相談」の患者さんは、長年1人で暮らされていて、人の助けを借りることに抵抗がある方(1の情報)なのかもしれません。または直前に、別のスタッフとの間で信頼関係が失われるようなことがあった(2の情報)のかもしれません。あるいは患者さん自身が混乱していて、入院していることを認識できていない(3の情報)ということも考えられます。

 ナースとリハスタッフでは患者さんとの関係性が異なるので、それぞれに情報を共有し合うことが大切です。患者さんの反応がよいほうの職種が、どちらかの代理で患者さんの指導にあたるように助け合うのも1つの方法かと思います。