便秘には、ときには重篤化する病態が潜んでいることも。重篤な便秘の見きわめ方を知りましょう。今回は、重篤な便秘を招かないための予防・対応のポイントを紹介。便秘のアセスメント基準について解説します。

Q. 便秘のアセスメント基準、「3日に1回」はなぜ?

Answer
●排便の頻度には個人差があるため、日数にとらわれる必要はありません。
●排便間隔だけではなく、症状にも着目しましょう。

便秘の定義

 『便通異常症診療ガイドライン2023─慢性便秘症』では、便秘とは「本来排泄すべき糞便が大腸内に滞ることによる兎糞状便・硬便、排便回数の減少や、糞便を快適に排泄できないことによる過度な怒責、残便感、直腸肛門の閉塞感、排便困難感を認める状態」1と定義されています。
 日本ではそのほか複数の学会が便秘に対して、独自の基準を提唱しています(表12。一般的に排便の頻度や便の性状、排便前後の症状などから説明されており、客観性に乏しくあいまいなものです。

表1 わが国での各学会の便秘の定義

日本内科学会
3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態
日本緩和医療学会
腸管内容物の通過が遅延・停滞し、排便に困難を伴う状態を示す
日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会
本来体外に排出すべき糞便を充分量かつ快適に排出できない状態

(文献2より引用、一部改変)

 排便間隔に着目した場合、人が食事をして便として排泄されるまでの時間はおよそ24~72時間(1~3日間)である3とされており、この病態生理から便秘を捉えるめやすを3日としているのではないでしょうか。

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