人工呼吸器を装着している患者さんに行いたい、日常ケアとは?今回はカフ圧調整のタイミングについて解説。自動カフ圧計の製品例や使用手順も紹介しています。
Q. カフ圧の調整は何時間ごとに行う?
Answer
間欠的にカフ圧を調整する場合は、8時間より短い間隔でカフ圧調整を行います。しかし、人工呼吸器装着患者のカフ圧調整は、現在は自動カフ圧計で常時一定圧に維持する管理が一般的になってきています。
カフ圧は、常時20~30cmH2Oに維持されることが望ましいです。新品の気管チューブのカフ圧は、自然脱気において、5cmH2O低下するのに約8時間を要します1。
間欠的にカフ圧を調整する場合、カフは、カフ圧計を外す手技によって2~3cmH2O低下するため、カフ圧を調整するときに30cmH2O程度に調節すれば、8時間以内であれば 20cmH2O以上に維持できます。
カフは完全に垂れこみを防止することができないため、オーラル(口腔)ケアなど、垂れこみが起こりやすいケアの前にはカフ圧調整を行い、垂れこみを防止する必要があります。
したがって、カフ圧の調整時間は8時間以内に、特にオーラルケアなど垂れこみが起こりやすいケアの前などに行います。
ただし、チューブの劣化や患者状況により異なるため、エアリークなどは常時観察することが必要であり、頸部の聴診とともにカフ圧調整のタイミングを考えることが大切です。
ゴム球を使用した調整方法
●カフ圧計を直接パイロットバルブに接続し、カフ圧計のゴム球を握って加圧し、空気を注入後、排気用のボタンを押してカフ圧を調整する
●微調整が難しい
自動カフ圧計で常時一定圧に維持する管理が一般的
自動カフ圧計「Puritan Bennett™ カフ圧マネージャ」(図1)は、カフ圧の制御、調整を自動維持できるため、カフ内圧に起因する気管損傷や垂れこみによる誤嚥のリスクを低減させます。
始動時は25cmH2Oに設定され、5~50cmH2Oの範囲で設定が可能であり、調整精度は±1.0cmH2O、表示精度は±1.5cmH2Oの精度があります。
カフの破損など設定圧が維持できなくなったときや、接続外れ時はアラームが鳴ります。
なお、本体とパイロットバルブをつなぐ接続チュー ブは外れにくいため、不穏時など接続チューブを引っ張ると気管チューブの予定外抜去につながるため注意が必要です。
図1 自動カフ圧コントローラ「Puritan Bennett™ カフ圧マネージャ」

〈使用手順〉
①付属の接続チューブを本体に接続する
②本体の電源を入れ、カフ圧を設定する(始動時は25cmH2O)
③気管チューブのパイロットバルブへ接続する
④カフは自動的に設定した圧へ調整される。設定を変更する際は「+」「-」ボタンを押して調節する
図2 自動カフ圧コントローラ SmartCuff
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