世界最大規模の統合解析により明らかに
国立がん研究センター東病院などの研究グループは7月18日、論文を発表し、固形がんに対する治験薬の効果やバイオマーカーに基づく治療法の有効性に関する評価を報告しました¹。
調査は16,144人の患者を対象に、分子プロファイルおよび治療成績や生存期間等に関する解析が行われました。解析の結果、治験薬治療を受けた患者(n=674人)のうち、奏効*した患者は29.2%(n=197人)でした。また、がんの分子プロファイルから見つけられたバイオマーカーに適合する標的治療を受けた患者は、標的治療を受けなかった患者と比較して、生存期間が延長すると明らかになりました。
同グループは、バイオマーカーに基づくがん個別化医療の重要性が裏づけられたとして、がん個別化医療を発展させることで、より多くのがん患者に有効な治療薬をいち早く届けられることが期待されるとしています²。
*奏効は、完全奏効(完全に腫瘍が消失)と部分奏効(腫瘍病変の径和が30%以上減少)に分類されるが、本研究においては完全奏効と部分奏効を合わせて「奏効」という。
- 1.Hashimoto T,Nakamura Y,Fujisawa T,et al.:The SCRUM-MONSTAR Cancer-Omics Ecosystem: Striving for a Quantum Leap in Precision Medicine.Cancer Discov 2024;DOI:10.1158/2159-8290.CD-24-0206.
2.国立がん研究センターホームページ:世界最大規模の統合解析により、がん個別化医療による生存期間の延長を確認.
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2024/0719_1/index.html(2024.8.20アクセス)
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