患者さんの訴えから重大な疾患を見きわめて、すぐに対応するには?今回は胸痛を起こすキラーディジーズ「急性肺血栓塞栓症」「緊急性気胸」の症状やメカニズム、初期対応について紹介します。

急性肺血栓塞栓症の症状

●突然の呼吸困難と胸痛
●頻呼吸
●頻脈
●ショック 
頸静脈怒張 ●喘鳴 ●湿性ラ音肺高血圧、右心不全により現れる
●下肢の腫脹、疼痛
●ホーマンズ徴候

急性肺血栓塞栓症のメカニズムと、特徴的な所見

胸痛・呼吸困難のほか、下肢に現れる所見も確認を

 急性肺血栓塞栓症は、静脈や心臓に形成された血栓が遊離て、急激に肺動脈を閉鎖することにより生じます。血栓塞栓の大きさなどによって、無症状なものから心停止に至るものまでさまざまなものがあります。

 特徴的な症状は、突然の呼吸困難胸痛のほか、下肢の腫脹、疼痛、ホーマンズ徴候図1)などです。塞栓子の90%以上は下肢深部静脈あるいは骨盤内静脈由来1とわかっており、安静解除後の起立や歩行、妊婦、骨折後の合併症などが要因となります。そのため、疑った際には下肢の観察も忘れないようにします。

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