川嶋みどり 看護の羅針盤 第17回

　20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 （ライフサポート社、2020年）。　

　この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

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　「看護は労働である」ということを受け入れられますか。看護師は雇用され、労働諸法規によって権利を保障されている労働者であるのに、「看護師は労働者である」という規定に対して、看護師自身のなかにすっきりと割り切れない感情が残っている人も多くいます。

　それには戦前の、看護師は博愛・奉仕の精神を基礎とした聖職であるとする思想の影響があります。

　またそれとは別に、専門職を志向するあまり、看護は人間を対象とする職業で、一般産業の労働者とは違うといった考え方もあります。

（出典：『新訂　キラリ看護』146ページ、医学書院）