川嶋みどり 看護の羅針盤 第30回

　20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 （ライフサポート社、2020年）。　

　この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

そのほか「川嶋みどり 看護の羅針盤」の記事はこちら

　日常生活行動を例にとってみよう。 健康の指標として、一般に快食・快便・快眠などと言われるが、正常なときには当然のこととされているこれらのことが、なんらかの理由で妨げられたとき、もろもろの制約の中で、できるだけ自然に行動できるよう援助するのである。

　看護はこのように日常的習慣的ケアの積み重ねであり、そのことが、生命の維持と継続にとって重要であるとともに、人間が人間らしく生きるうえでの保障となるのである。いわば看護は人々の生活そのものの中に存在しているとも言えよう。

（出典：『看護学のすすめ』8～9ページ、筑摩書房）