拘縮患者さんに適切なケアを行うために、看護師が知っておきたい知識とは?今回は、拘縮患者さんへの清拭、衣服着脱のポイントを解説します。

拘縮のある患者さんの清潔ケアのポイント

 清拭は、臨床ではよく経験するケアです。清拭は爽快感を与え、全身の皮膚状態を観察する、血行をよくするなど重要なケアの1つでもありますが、拘縮のある患者さんではうまく清拭ができない部分もあるのではないでしょうか。

 例えば図1のような状態であれば、どんな問題が考えられるでしょうか?まず、指が開かないことで手のひら側がうまく拭けず、手のひらの清潔が保たれません。また自分の爪によって手のひらを傷つけてしまいます。無理に手を開こうとしても、患者さんに痛みを生じさせるだけです。

図1 手足に拘縮のある患者さん、どう清拭する?

手足に拘縮のある患者さん

 同じようなことは、肩や肘、下肢でも起こります。例えば股関節の拘縮では、鼠径部や下腿の内側の清潔が保持されず、拭するときには痛みを生じさせてしまいます。

拘縮部位の無理のない開き方

無理に伸ばさない、開かないことが大切

 まずは無理に伸ばさない、開かないことが最大のコツです! 無理をすることで、かえって筋肉の緊張を高めます。
 肘が拘縮し、腕が伸びない場合は、まず大きな面積で腕を支えるようにします(図2-①)。つかまないで添える感覚です。肘を固定してゆっくりです。

図2 肘と手の拘縮がある患者の「清拭前の準備」

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