拘縮患者さんに適切なケアを行うために、看護師が知っておきたい知識とは?今回は拘縮のある患者さんのトイレ介助のポイントを紹介。排泄しやすい座り方や車椅子と便座の配置などを解説します。
拘縮のある患者さんのトイレ介助のポイント
積極的な排泄管理は生活の質の改善となり、なによりも心身機能の改善をもたらします。また、排泄は尊厳やQOLを障害するものであり、患者さんは「トイレ」での排泄を望んでいます。
トイレでの排泄の動作を大きく分析すると「トイレへの移乗」「下衣の上げ下ろし」「あと始末」となります。このうち、拘縮している患者さんで特に問題となるのが、便座への座位時の姿勢です。
長期臥床状態にあると背部の筋肉が伸展してしまい、いざ座位を保持しようとしても図1のような姿勢になってしまいます。介助者は後方に倒れないように支えなければなりませんが、その支える行為が筋
肉の緊張をさらに強めることにつながります。
図1 この患者さん、どうトイレ介助する?

拘縮患者さんが排泄しやすい座り方
図2 排泄に適した座り方

理想は図2の姿勢です。やや前傾姿勢となるように注意します。
前傾姿勢をつくるコツとしては、無理に前方へ身体を倒さないこと。無理に倒そうとすると、筋緊張が高まります。「押す」という行為に対して、反発しようとするからです。
前傾姿勢をつくるポイントは、踵をやや後方に接地することです。足底を設置することにより床からの刺激が入力され、筋肉の緊張がほぐれます。また、便座には腰深く座ってもらうことを意識してもらいます。
ポータブルトイレなどは、座ったときに前傾姿勢が自然ととれるような角度調整つきのものが多数販売されています。
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