看護の基本としてさまざまな場面で実践される排泄ケア。「なぜ」そのようにしているのか、本当に「どうする」のか、あらためて考えるとわかっていない…ということもあるのでは。こちらの連載では、排尿・排便のメカニズムを踏まえて解説!毎日のケアのヒントが詰まっています。

【第1回】腹部の手術前に浣腸が必要な理由

 直浣腸は、前処置として一般的に行われるものの、浣腸の手技による腸穿孔、グリセリン液による溶血などの報告もあり、慎重に行う必要があります。浣腸の基本から確認していきましょう。

〈目次〉
●手術野の汚染の防止、合併症予防のために浣腸を行う
●浣腸の基本を確認しよう
・浣腸の禁忌
・浣腸の種類

【第2回】抗がん薬で便秘・下痢が起こりやすいのはなぜ?

 排便は日常生活のことでもあるため、できるだけ症状に伴う苦痛を最小限にすることが大切。便秘と下痢、それぞれが起こるメカニズムをみていきます。

〈目次〉
●便秘・下痢をきたしやすい抗がん薬の種類
●抗がん薬による便秘の原因
●便秘と腸閉塞/イレウスの鑑別に注意しよう
●抗がん薬による下痢の原因とケア

【第3回】オピオイド誘発性便秘(OIC)への対策はどうする?

 オピオイドによる便秘は主に、μオピオイド受容体への作用によって生じるといわれています。患者さんの症状マネジメント力が高められ、実践できるように支援していくことが大切です。

〈目次〉
●そもそも医療用麻薬とオピオイドって同じなの?
●オピオイド誘発性便秘(OIC)ってどんなもの?
●OICに対する便秘対策の注意点は?
1 アセスメントに沿った治療を行う
2 適切な下剤を検討する
3  原疾患による影響を考える
4  オピオイドスイッチングを検討する
●非薬物療法などのケアも忘れずに行おう

【第4回】“3日間、便が出ないと下剤”は本当?

 多くの医療機関で「3日間、便が出ないと下剤」という考えが広まっていますが、便秘は個人差が基準となる状態。個別対応するためのポイントを押さえましょう。

〈目次〉
●なぜ、「3日間、便が出ないと下剤」といわれているのだろう?
●便秘の定義はどうなっているの?
●便秘の個別対応はどうする?
①便秘の陰に隠れた重大疾患の徴候を見逃さない
②排便回数の減少は便秘の一要素でしかない
③慢性便秘では「排便日誌」が役に立つ
④機能性便秘はタイプを分けて治療する
⑤刺激性下痢の乱用からの離脱を図る

【第5回】便秘の患者さんでX線画像を撮る理由

 便秘症を有する患者さんに対して、診察する際の補助診断の1つとして、著者が愛用してきたという腹部単純X線撮影。実際に何がわかるのか、解剖や生理学的基礎知識をふまえて説明しています。

〈目次〉
●腹単では大腸内の便・ガスの量・形態・存在部位を確認
●便秘のアセスメントに必要な便生成の基礎知識
・結腸運動(ハウストラ形成)
・大蠕動
・大腸を支配する自律神経
・大腸の便貯留機能
●便秘症で腹単を撮影するときは臥位で実施する
●腹単での便は実質性の灰色に見える
●便の貯留のパターンをおさえよう

【第6回】便秘で下剤を使い分けるのはなぜ?

 慢性便秘は消化管の形態変化や運動障害に伴う非狭窄性器質性便秘と機能性便秘に分けられ、さらに機能性便秘は3つに分けられます。それぞれの病態と対応、下剤の種類をまとめています。

〈目次〉
●機能性便秘の種類による下剤の使い分け
①大腸通過正常型
②大腸通過遅延型
③便排出障害型
●主な下剤の種類と特徴
・新規便秘薬はここに注意!
●便秘治療に用いる外用薬

【第7回】尿道留置カテーテル挿入時に消毒するのはなぜ?

 膀胱内での細菌が繁殖を防ぐためには、尿道留置カテーテルなどで尿を体外に排出する必要があります。細菌を膀胱内へ押し込まないための消毒についてみていきましょう。

〈目次〉
●尿道留置カテーテルの挿入と細菌感染のリスク
●カテーテル挿入時の消毒・洗浄の方法
①挿入前の陰部洗浄
②尿道留置カテーテル挿入の準備
③尿道留置カテーテルの挿入時の消毒
④尿道留置カテーテルの挿入
⑤蓄尿袋の設置

【第8回】尿道留置カテーテルを早期に外す理由は?

 尿道留置カテーテルが長期になるほど合併症が増えるため、本当に必要な治療であるかの確認を。どうしても必要な例と、起こりうる合併症を挙げています。

〈目次〉
●尿道留置カテーテルがどうしても必要な場面とは?
●留置によって起こる合併症にはどんなものがあるの?
①尿路感染症
②出血
③結石の形成
④膀胱機能の低下、膀胱の萎縮
QOLの低下
⑥尿道損傷や尿道皮膚瘻

【第9回】肛門括約筋機能が衰えていなくても、便失禁するのはなぜ?

 便失禁は肛門括約筋機能の低下が原因とは限らず、肛門括約筋不全、直腸肛門疾患などそのほかの理由もみられます。便失禁の対策についてもチェックを。

〈目次〉
●便失禁の原因は肛門括約筋の衰えだけじゃない!
・便失禁の主な原因
・溢流性便失禁
・漏出性便失禁
●便秘を排除することも便失禁への対策となる

【第10回】排泄アセスメントで用いる代表的なスケールとは?

 適切なケアを行うためには、共通のスケールを使って正確な情報やデータに基づいてアセスメントすることが重要です。代表的なスケールと、その特徴を掲載しています。

〈目次〉
●標準化されないことで困るのはどんなところ?
●排泄アセスメントで用いる代表的なスケール
①ブリストルスケール
②King ’s Stool Chart
③IAD 重症度評価スケール:IAD – set
④排尿日誌、排便日誌
ICIQ – SF

【第11回】便・尿失禁で殿部の皮膚が荒れるのはなぜ?

 便や尿が長時間付着すると、皮膚は浸軟状態となり、スキントラブルが生じやすくなります。皮膚を清潔に保つためのスキンケアのポイント、排泄ケア用品の選び方とは?

〈目次〉
●便・尿失禁で皮膚が荒れる要因
●皮膚炎が起こるメカニズム
●おむつによる影響にも注意
●便・尿失禁に対するスキンケア
●失禁に伴う皮膚障害が発生したときの対応
・スキンケアのポイント
・失禁ケア用品の選び方(洗浄剤の例、撥水性皮膚保護剤の例)
●失禁に伴う皮膚障害が発生したときの対応

【第12回】排尿アセスメントでの情報収集方法とは?

 排尿の過程に障害があると失禁につながるため、排尿パターンを理解したうえでのトイレ誘導が必要に。適切な排尿ケアに欠かせない、排尿アセスメントについて解説しています。

〈目次〉
●排尿アセスメントでの情報収集のしかたは?
①排尿状態のアセスメント
②排泄動作のアセスメント
③既往歴のアセスメント
④生活環境のアセスメント
⑤影響要因のアセスメント

【第13回】排尿誘導の方法、排尿自立の進め方は?

 なぜ頻尿なのか、なぜ失禁があるのかを知るには、残尿の有無の確認を。排尿誘導の具体的な方法をチェックしながら、排尿自立に向けたケアについて考えていきます。

〈目次〉
●残尿測定はどうして必要なの?
・膀胱用超音波画像診断装置の例
●排尿誘導の具体的な方法は?

・定時トイレ誘導
・排尿習慣化訓練
・排尿自覚刺激行動療法
●排尿自立を促すケア計画のポイント
●排尿自立に向けたケアで注意したい点は?

【第14回】クロストリディオイデス・ディフィシル腸炎で下痢をするのはなぜ?

 ロストリディオイデス・ディフィシル腸炎は、入院患者に最も多くみられる下痢症の原因。下痢が生じるのには、抗菌薬が関わっています。治療法やケアのポイントも紹介。

〈目次〉
●クロストリディオイデス・ディフィシル腸炎はどんな病気?
●感染の原因は?
●どうやって治療する?
●ケアにはどんなことが大切?

【第15回】腸内環境のために乳酸菌が大切なのはなぜ?

 腸内細菌の産生物質は、大腸内の環境維持、腸管の運動や感覚、免疫機能、代謝機能などをコントロールしています。腸内細菌叢のバランスが崩れると疾患につながるので注意しましょう。

〈目次〉
●腸内細菌叢の基礎知識
●腸内細菌叢のバランス改善のための方法
●乳酸菌製剤の特徴と使い方

【最終回】排便にとってトイレの高さが大切なのはなぜ?

 姿勢によって、排便のしやすさが変わります。特に排便しやすいのが、腹直筋力が高まり、骨盤腔が縮小される蹲踞位。トイレの高さを変えることで、蹲踞委のよさを取り入れることができます。

〈目次〉
●トイレの歴史を紐解いてみよう
●座位姿勢と蹲踞姿勢の直腸-肛門角度の違い
●排便の影響を考えるうえで大切な骨盤付近の6つの筋肉
●姿勢別にみた骨盤にかかる外力
A.立位
B.直立・座位
C.体幹前傾・座位
D.蹲踞位
E.臥位
●便座の低いトイレは蹲踞位のよさを取り入れられる