便秘には、ときには重篤化する病態が潜んでいることも。重篤な便秘の見きわめ方を知りましょう。今回は、水様便が漏れる場合の対処法について。下痢の原因や止痢剤を使うリスクなどを紹介します。

Q. “水様便が漏れる”患者さんには、止痢剤を使えばよい?

Answer
●水様便は、便秘に起因する場合もあります。
●止痢剤の使用が、重篤な便秘につながることがあります。

下痢の原因は?

 最初に考えることは、下痢の原因の検索です。下痢を起こす原因はいろいろある(表11ことから、なぜ下痢になってしまったかアセスメントし、その原因に対する治療やケアを行う必要があります。

表1 下痢と病態の原因

急性下痢
感染性腸炎
●細菌感染 ●ウイルス感染
●抗生物質起因性腸炎
粘膜障害
●各種薬剤(NSAIDsなど) 
●抗悪性腫瘍薬 ●放射線

慢性下痢
吸収能の低下
●腸切除術 ●乳糖不耐症
●非吸収性糖類の服用(ラクツロースなど)

分泌の増加
●下剤(塩類下剤、大腸刺激性下剤など)
●ホルモン産生腫瘍(ガストリン、VIP*1など)
●胆汁性下痢(クローン病、回腸切除後)
●門脈圧亢進症
●脂肪性下痢(慢性膵炎)

炎症、腫瘍
●炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
●大腸がん、虚血性腸疾患、家族性大腸腺腫症

消化管運動異常
●亢進(過敏性腸症候群など)
●低下(糖尿病、強皮症、アミロイドーシス)

(文献1より引用)
*1【VIP】=vasoactive intestinal polypeptide、血管作動性腸管ペプチド。

この記事は会員限定記事です。