抗がん薬で便秘・下痢が起こりやすい理由は?便秘・下痢をきたしやすい抗がん薬の種類や、下痢が起こるメカニズム、便秘と腸閉塞/イレウスの鑑別についてなど、詳しく解説しています。
●便秘は、微小管の障害による腸管運動の低下が要因として大きい。
●下痢は、副交感神経が刺激されることによる腸管運動の促進・水分吸収の障害、抗がん薬の代謝物による腸粘膜の損傷による。
●排便への影響は、薬剤の副作用以外の要因も考慮する。
便秘・下痢の原因となる抗がん薬とは?
がん患者に用いられる抗がん薬のなかには、副作用として便秘や下痢になりやすいものがあります。代表的なものを下記に紹介します1,2,3。
便秘をきたしやすい抗がん薬
<細胞障害性抗がん薬>
微小管阻害薬(ビンカアルカロイド)
●ビンクリスチン硫酸塩
●ビノレルビン酒石酸塩
微小管阻害薬(タキサン)
●パクリタキセル
●パクリタキセル(アルブミン懸濁型)
●ドセタキセル水和物
●カバジタキセル アセトン付加物
アルキル化薬
●ストレプトゾシン
●テモゾロミド
●ベンダムスチン塩酸塩
代謝拮抗薬
●アザシチジン
●ネララビン
●フルダラビンリン酸エステル
●ペメトレキセドナトリウム水和物
<分子標的薬>
キナーゼ阻害薬
●レンバチニブメシル酸塩
●アキシチニブ
●アレクチニブ塩酸塩
●クリゾチニブ
下痢をきたしやすい抗がん薬
細胞障害性抗がん薬
●イリノテカン
●フルオロウラシル
●アクチノマイシン
<分子標的薬>
EGFR阻害薬
●セツキシマブ
●ゲフィチニブ
●エルロチニブ塩酸塩
●アファチニブマレイン酸塩
●ラパチニブトシル酸塩水和物
KIT*1阻害作用薬
●ソラフェニブトシル酸塩
●スニチニブリンゴ酸塩
●アキシチニブ
●パゾパニブ塩酸塩
●イマチニブメシル酸塩
●ダサチニブ水和物
●ボスチニブ水和物
*1【KIT】KITタンパクのこと。
mTOR阻害薬
●エベロリムス
●テムシロリムス
排便は日常生活のことでもあり、ちょっとした変化でも患者さんは敏感となります。そのため、できるだけ症状に伴う苦痛を最小限にすることが大切です。便秘と下痢ではメカニズムが異なるため、それぞれ紹介します。
抗がん薬による便秘の原因とは?
抗がん薬による便秘は、自律神経に存在する微小管への障害が原因であることが多いです。従来からある細胞障害性抗がん薬では、微小管の障害によって腸管運動が抑制されることで、便の排泄に影響します(図1)。
図1 抗がん薬による便秘のしくみ

分子標的薬では下痢が起こりやすいとされていますが、薬剤によっては便秘をきたす可能性があります。
また、抗がん薬だけではなく、制吐薬(5-HT3受容体拮抗制吐薬)による腸管蠕動運動の抑制が便秘をもたらすこともあります。疼痛や咳嗽などの症状があり、鎮痛薬や鎮咳薬を服用している場合にも排便に影響します。
便秘と腸閉塞/イレウスの鑑別
服用している薬剤について把握することで、副作用を予測することができます。
しかし、患者さんのなかには、薬剤とは関係なく便秘を訴えることもあります。化学療法に伴う食事量の低下のため、便自体が生成されていないような場合です。腹部症状は便の貯留が関連しているとは限りません。
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