川嶋みどり 看護の羅針盤 第53回

　20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 （ライフサポート社、2020年）。　

　この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

そのほか「川嶋みどり 看護の羅針盤」の記事はこちら

　患者の立場に立って、患者を中心にした看護を科学的に展開しようとすれば、当然看護過程という考え方が生まれてくる。ただ、ここで注意しなければならないのは、「看護過程」という特別な枠のなかに実践を当てはめるのではなく、実践のプロセスを分析すれば、そのプロセスを構成するいくつかの要素が抽出される。

　そして、その要素はいずれの実践にも共通に取り出せるものであるということを理解しておく必要がある。さらに、その要素とその流れの一定性は看護実践に特有なものではなく、人間のあらゆる実践に普遍的なものであるということである。

（出典：『新訂 看護観察と判断 看護実践の基礎となる患者のみかたとアセスメント』11～12ページ、看護の科学社）