川嶋みどり 看護の羅針盤 第55回

　20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 （ライフサポート社、2020年）。　

　この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

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　看護の対象の必要性からみて、ジェネラリストこそ看護の中核的存在であり、その看護技術水準を高めることが、現時点での切実な問題であると感じている。

　また、 現在の疾病構造や医療技術の高度化からみて、日進月歩の知識に追いつくことは至難であり、一人の看護師の限界をも感じている。したがって、ある領域でのスペシャリストは確かに必要であろう。しかし、それは従来のように、（狭義の）医療からの要請ではなく、看護独自の必要性からのものでありたい。（中略）

　ジェネラリストとスペシャリストは上下関係ではなく、技術の分担をする関係でありたいと思っている。

（出典：『いま、病院看護を問う 看護の時代１』189ページ、勁草書房）