がん終末期の患者に体動困難があるからといって、漫然と尿道カテーテルを留置すると自律性・自己コントロールの喪失につながります。排泄ケアの具体的なアセスメントと介入方法を解説します。

「がん終末期ケアの“やってはいけない”」の連載まとめはこちら

がん終末期ケアのNG

体動困難があるからといって、漫然と尿道カテーテルを留置してはいけない
〈理由〉自律性・自己コントロール感の喪失につながり、生きる意欲を失わせる可能性があるから

がん終末期における尿道カテーテル留置のデメリットは?

 全身状態の悪化により ADLが低下し、転倒や病的骨折のリスクが高い状態でも「最後までトイレは自分で行きたい」「看護師さんの世話になりたくない」という患者さんの言葉は、よく耳にするのではないでしょうか。

 尿道カテーテルの留置は、行動制限や尿路感染症の原因になるだけでなく、「排泄行為を他者に頼らなければならなくなった」と思う患者さんの自尊心を傷つけ、自己コントロール感の低下を招くことにもつながる恐れがあります。

 ADLがこれ以上改善しない終末期患者さんにとって、自己コントロール感の低下は、 生きる意欲をも失わせる可能性があります。終末期の患者さんに対してはまず、患者さんの自律を支援しなければなりません。

終末期がん患者への排泄ケア:アセスメントと介入方法

 私たちはまず、患者さんの思いを十分に受け止め、できるだけ希望に添えるようにしていくことが大切です。具体的な評価方法と、看護ケアを示します。

排泄活動の評価と介入のポイント

①排尿状態を把握する

情報収集する点
●排尿回数・時刻・所要時間・尿量・性状
●尿意の有無
●夜尿 など

具体的な介入
●あらかじめ点滴の終了時刻や面会時間は避け、排尿時刻が予測できる場合は、トイレへの声かけや誘導を行う

②排尿を左右する因子を把握する

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