人工呼吸器装着中にも、モニタ心電図による観察が重要です。その理由や、アラーム設定のポイントをわかりやすく解説します。

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人工呼吸器装着中にモニタ心電図が必要な理由は?

 生命維持装置である人工呼吸器を装着している患者に対しては、厚生労働省から生体情報モニタの併用等1について示されたものがあります(ただし、ここで言われているモニタはパルスオキシメータやカプノメータが中心)。

 また、日本呼吸療法医学会 人工呼吸安全管理対策委員会『人工呼吸器安全使用のための指針』の中でも、「人工呼吸療法中は患者の呼吸に関するモニタリングが不可欠であり、余裕があればその他の生体情報をモニタリングすることが望ましい2とされ、具体的なモニタの項目についても示されています(表12

表1 『人工呼吸器安全使用のための指針』に示される必要なモニタ

Ⅴ 警報装置およびモニター
2 .モニター
人工呼吸療法中は患者の呼吸に関するモニタリングが不可欠であり、余裕があればその他の生体情報をモニタリングすることが望ましい。モニタリング情報は、一定期間記録・保存できることが望ましい。
(1)パルスオキシメータによる経皮的酸素飽和度を連続的にモニタリングすること。警報装置を作動させること。
(2)呼気二酸化炭素濃度を連続的にモニタリングする。波形も表示すること。警報装置を作動させること。
(3)心電図を連続的にモニタリングすること。警報装置を作動させること。
(4)人工呼吸器の分時換気量、気道内圧を連続的にモニタリングすること。

(文献2より引用)

 このことから人工呼吸器装着中の患者にはモニタ心電図は必要なものだと考えられます。なぜなら、ショック状態から改善するために人工呼吸器を装着するため、この状態が改善しているのかどうか観察することが必要だからです。
 特に、不整脈による心不全から人工呼吸器を装着した患者には、モニタ心電図による観察が必要不可欠です(図1)。

図1 人工呼吸器装着患者の背景で起こっていること(不整脈が原因の場合)

人工呼吸器装着患者の背景で起こっていること(不整脈が原因の場合)

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