髄液に血液が混入した場合は、くも膜下出血か末梢血かを区別する必要があります。見分け方や、末梢血混入による検査への影響、髄液の色調の種類を紹介します。

Q. 採取した髄液に血液が混入したらどうする?

A.
まず、くも膜下出血か末梢血混入かを見きわめます。末梢血混入時は検査結果を補正する方法もありますが、必ずしも正確なデータとならないため注意が必要です。

髄液検査とは?

 脳脊髄液(髄液)は髄腔内を満たしている液体であり、脳や脊髄を守るためのクッションの役割などをしています。いわば、豆腐(脳)を守る水(髄液)のような存在です。

 髄液検査は、主に髄膜炎のような中枢神経系感染症の診断・治療経過で実施されます。髄液の色調(図1)は健常人であれば無色透明(①)、髄膜炎などで細胞の増加が生じると濁りが増強し、混濁(②)を呈します。出血があれば血性(赤色)(③)を示し、古い出血があった場合には、キサントクロミー(黄色調)(④)を呈します。これは出血後3~4時間で出現しはじめ、およそ1週間で色調が最も著明となり、3~4週間持続します1

図1 髄液の色調の種類

髄液の色調の種類

末梢血混入による髄液検査への影響は?

 髄液の色調が赤色、つまり血性を呈した場合、くも膜下出血と、採取手技による末梢血混入を区別する必要があります。髄液に末梢血が混入した場合、細胞数とタンパク量が最も影響を受けます。例えば末梢血液中の白血球が髄液に混入すると、見かけ上、細胞数の増加を認めます。また髄液のタンパク量は、通常血液に比べると微量なことから、見かけ上、タンパク量が増加します。

髄液の末梢血混入の見分け方

 末梢血混入の見分け方のポイントとしては、採取時の色調を観察することが重要です。採取時に最初から最後まで赤色のときにはくも膜下出血が疑われ、採取直後は血性で、しだいに透明になるようであれば、末梢血の混入の可能性が高まります(図2)。

図2 「末梢血」と「くも膜下出血」の特徴と見分け方のポイント

「末梢血」と「くも膜下出血」の特徴と見分け方のポイント

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