頭蓋内圧亢進による頭痛の症状や徴候、観察のポイント、対応方法とは?早期発見に役立つ、看護師が知っておきたい知識を紹介します。
頭蓋内圧亢進症状としての頭痛
(くも膜下出血、脳出血、脳梗塞、脳腫瘍による)
●問診(発症の状況、痛みの質など)
●頭蓋内圧亢進症状
●神経症状(麻痺・失語など)
●髄膜刺激症状
↓気づきたいポイント
●歯磨きしていたら“突然の”頭痛が起きた
●“今までに感じたことのない”“バットで殴られたような”頭痛が起きた
頭痛の症状・徴候は?
頭痛はさまざまな原因で起こります。ふだん、私たちも少し疲れを感じたり、ストレスが溜まったりするだけで頭痛を自覚することがあります。『国際頭痛分類第3版(ICHD-3)」1では、頭痛は一次性頭痛と二次性頭痛に大別されます(表1)。
表1 国際頭痛分類第3版(ICHD-3)
一次性頭痛
〈分類/代表的な疾患〉
●片頭痛/慢性片頭痛
●緊張型頭痛/稀発反復性緊張型頭痛
●三叉神経・自律神経頭痛(TACs)/群発頭痛
●その他の一次性頭痛
二次性頭痛
●頭頸部外傷・傷害による頭痛/頭部外傷による頭痛、むち打ちによる頭痛、開頭術による頭痛 など
●頭頸部血管障害による頭痛/脳卒中、解離性動脈瘤、血管奇形、静脈洞血栓症、側頭動脈炎 など
●非血管性頭蓋内疾患による頭痛/頭蓋内圧亢進、低髄圧、腰椎穿刺後の頭痛、脳腫瘍、てんかん、キアリ奇形 など
●物質またはその離脱による頭痛/アルコールによる頭痛、カフェインの離脱症状、オピオイドの離脱症状 など
●感染症による頭痛/髄膜炎 など
●ホメオスターシス障害による頭痛/高山性頭痛、飛行機頭痛、潜水時頭痛、高血圧性頭痛 など
●頭蓋骨・頸・眼・耳・副鼻腔・歯・口あるいはその他顔面・頸部の構成組織の障害による頭痛あるいは顔面痛/緑内障、副鼻腔炎 など
●精神疾患による頭痛/身体化障害による頭痛 など
(文献1を参考に作成)
多くの頭痛は一次性頭痛(機能性頭痛)であり、偏頭痛や筋緊張性頭痛等の慢性的で、これといって原因がはっきりしないものです。これらの頭痛は命にかかわることはありません。
しかし二次性頭痛(症候性頭痛)のような、大きな疾患に伴って起こる危険な頭痛の可能性もあり、注意が必要です。
頭痛の事例
●激しい頭痛を訴えた患者
●頭痛を感じたときは「洗いものをしていた」など、症状の発生を覚えている
●頭痛を訴え、うずくまったあと、意識消失した
事例が起こったのはなぜ?
■「くも膜下出血」による“髄膜刺激症状”としての頭痛

①問診:頭痛発症時を明確に覚えている
②頭蓋内圧亢進症状:頭痛
③神経症状(麻痺・失語など):今のところなし
④髄膜刺激症状:項部硬直、ケルニッヒ徴候が認められた
●CT画像により、脳底動脈瘤の破裂がくも膜下出血を招き、髄膜刺激症状による頭痛が発生していると考えられた
頭痛のメカニズムと鑑別のポイント
頭蓋内病変を原因とした頭痛のメカニズムを取り上げます。
頭蓋内病変による頭痛のなかで最も代表的なものはくも膜下出血です。くも膜下出血による頭痛は、発症時より認められることが特徴です。なお、それ以外の頭蓋内疾患(脳出血、脳梗塞、脳腫瘍)では、頭痛が初期から認められることは多くありません。
1)くも膜下出血による頭痛
くも膜下出血による頭痛は、頭蓋内圧亢進症状と髄膜刺激症状が考えられます(頭蓋内で痛覚を有するのは血管と硬膜の一部であり、脳実質では疼痛を感じることはありません)。
くも膜下腔に流れ込んだ血液により、頭蓋内の容積が増え、頭蓋内圧が亢進することによって、痛覚を有する血管が直接刺激され圧迫されることで、頭痛が引き起こされます。悪心・嘔吐、けいれん、意識障害を伴うことがあります。
また、出血で刺激されている痛覚を有する髄膜に負荷を加えると、疼痛から体を守ろうとして防御反応が起こります。防御反応として現れる症状を髄膜刺激症状といいます。
特にくも膜下出血の患者は、発症したとき、「今までに感じたことのない激しい頭痛」「バットやハンマーで思い切り殴られたようだ」「○○していたら突然、激しい頭痛が襲ってきた」などと表現されます。
このうち、いつ起きたかをはっきり自覚している突然の頭痛は、くも膜下出血である可能性が高いです。しかし、軽度の出血の場合は、頭痛も軽度であることがあります。その他、警告頭痛といってくも膜下出血発症前に頭痛が発症する可能性もあります。軽度であっても“突然の頭痛”には十分に注意し、「どんな頭痛か」「いつから続いているか」「きっかけは何か」を問診していく必要があります。
なお、くも膜下出血の原因の80%は脳動脈瘤(図1)といわれています。未破裂動脈瘤は遺伝性の要因もあります。もし、患者に未破裂動脈瘤の既往がある、または、くも膜下出血の家族歴がある場合、なおかつ高血圧で治療中の場合の“突然の激しい頭痛”は、くも膜下出血を疑う必要があります。また、脳動脈瘤破裂のリスクファクターは「喫煙」「多飲酒」「高血圧」が3大リスクとされています。
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