髄液検査の検体は冷蔵保存・常温保存のどちらが適切かを解説。髄液一般検査と細菌培養検査、それぞれの場合を見ていきます。また、髄膜炎の基礎知識も紹介します。
Q. 採取した髄液は冷蔵保存?常温保存?
A.
髄液一般検査(細胞数や生化学分析)は冷蔵で保存。細菌培養検査は常温で保存します。
髄液一般検査では検体を冷蔵保存する
前回の記事で述べたように髄液は色調のほかに、細胞数、タンパクや糖などの生化学分析結果が、くも膜下出血や髄膜炎などの診断に有用です。その際、髄液の細胞数は、室温で放置すると細胞変性が進み、細胞数が顕著に減少するため、冷蔵で保存します。
細菌培養検査では髄液を常温保存する
ただし、髄液は検査の目的によって保存方法が異なるため注意が必要です。細菌培養検査では、基本的に、検体は可能な限り迅速に検査室に提出することが重要ですが、もしすぐに提出できない場合、採取した検体は冷蔵保存を避け、室温で保存します。その理由は、髄膜炎の原因菌のうち、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)が低温に弱く、冷蔵保存では死滅してしまうため、培養検査で検出できない可能性が高くなるからです。
髄膜炎とは?
髄膜炎とは、種々の原因により硬膜とその直下にあるくも膜、軟膜およびそのあいだのくも膜下腔に起きた炎症です(図1)。そのうち、細菌をはじめとするさまざまな微生物が原因となり引き起こされた場合を感染性髄膜炎と言います。
図1 髄膜炎の生じる部位

特に、細菌が原因で起こる髄膜炎(細菌性髄膜炎)は適切な抗菌薬治療が行われなければ、きわめて予後が悪い疾患です。表1のように、原因となる菌種が年齢に関係していることが知られています1。
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