2025年7月23日、順天堂大学大学院医学研究科など計15機関の共同研究グループは、強い嘔気・嘔吐を誘発する乳がんに対する抗がん薬治療(高度催吐性化学療法)において、3種類の制吐薬に加え、オランザピンを従来の研究結果よりも少量内服することの有効性・安全性をホームページで報告しました¹。
制吐療法においてオランザピンは少量投与でも高い効果を示すことが判明
高度催吐性化学療法においては、セロトニン受容体拮抗薬(SSRI)、NK₁受容体拮抗薬、デキサメタゾンの3剤併用制吐療法が推奨され、また近年、上記に加えてオランザピン10mgの内服で制吐効果が高まることもわかりましたが、ふらつきなどの副作用が課題となっていました²。
今回の研究では、乳がんに対する高度催吐性化学療法であるAC療法*¹において、3剤併用制吐療法に対してオランザピン5mgを加えることで有意に高い制吐効果が現れ、重篤な有害事象も認められなかったことが報告されました²。少量で効果がある服薬により、患者の経済的負担の軽減にもつながることが考えられています¹。
*1【AC療法】アントラサイクリン系抗がん薬(ドキソルビシンなど)と、シクロホスファミドを含む薬物療法。
- 1.順天堂大学ホームページ:乳がんの抗がん剤治療に朗報!―副作用が少なく、しっかり吐き気を抑えてくれる第4の制吐剤少量投与の有効性と安全性に関する研究報告―.
https://www.juntendo.ac.jp/news/23622.html(2025.8.20アクセス)
2.Saito M,Iihara H,Shimokawa M,et al.:Overall efficacy and safety of olanzapine 5 mg added to triplet antiemetics for an anthracycline-containing regimen in patients with breast cancer:a phase 3,double-blind,randomised,placebo-controlled trial.Lancet Oncol 2025;26(7):960-970.
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