脳出血を画像で理解するための基本を解説。被殻出血、視床出血、皮質下出血、脳幹出血、小脳出血の画像の見方や、画像を見てケアで予測すべきことなどを紹介します。

脳出血とは?

●脳出血とは、脳実質内に起こる出血をいいます。
●脳出血のうち高血圧が原因で起こる高血圧性脳出血が全体の80%以上を占めます。
●種類は出血する部位によって、被殻出血、視床出血、脳幹出血、小脳出血、尾状核出血、皮質下出血、その他の出血に分けられます。発生頻度を図11に示します。
●原因として、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病と思われがちですが、それ以外に血管奇形や脳腫瘍などが原因のことがあります。

図1 脳出血の部位別頻度

脳出血の部位別頻度を示す円グラフ
(文献1より引用、一部改変)

脳出血の画像診断の第一選択は?

 脳出血の画像診断は、迅速に判別しやすいため、CTが第一選択になります。
 脳出血はCT画像で脳実質内に白く描写される“高吸収域”の有無で診断されます。MRIでも診断可能ですが、脳出血の程度によっては緊急手術の判断などが求められるため、実施前の確認事項や検査に時間がかかるMRIよりCTが選択されることが多いです。その後、脳出血の種類や程度によって原因検索として、造影CTや脳血管造影などにより脳血管に異常がないかの確認が進められます。

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脳出血の画像の見方

1)被殻出血の画像の見方

 図2被殻出血の画像です。出血部位が白く見える“高吸収域”が確認できます。

図2 被殻出血(CT)

被殻出血のCT画像

 責任血管は中大脳動脈(MCA)から分岐するレンズ核線条体動脈です。

 被殻は運動神経の通り道である内包が近いため(図2)、反対側の運動麻痺が現れます(機能局在は脳画像の読み方入門:図で学ぶ脳の構造を参照)。図2の症例では、左の内包が障害され、右半身の運動麻痺が出現していました。
 また視床まで出血が及ぶと感覚障害が出現することがあります。

2)視床出血の画像の見方

 図3視床出血の画像です。

図3 視床出血(CT)

視床出血のCT画像

 責任血管は後大脳動脈から分岐する視床穿通動脈と視床膝状体動脈です。

 視床は感覚神経が通る部分であり、反対側の感覚障害や運動神経が通る内包も近くにあるため、反対側の運動麻痺が出現することがあります。また、視床は意識にもかかわっているため、意識障害や、眼球が内側下方に向く(鼻先凝視)の共同偏視を認めることがあります。

 図3の症例では、左の視床と内包が障害され、意識障害、右半身の運動・感覚障害が出現していました。

 なお、視床出血は脳室内に出血が及ぶ脳室穿破(せんぱ)が多い脳出血です(図3も側脳室が白くなっており、出血が脳室内に及んでいるのがわかります)。脳室穿破を合併すると、意識障害が重度になってしまうことがあります。急性水頭症になると手術が必要になる場合もあり、予後不良になってしまいます。

3)皮質下出血の画像の見方

 図4皮質下出血の画像です。

図4 皮質下出血(CT)

皮質下出血のCT画像

 責任血管は前・中・後大脳動脈から分岐した血管です。皮質とは大脳皮質のことで、大脳の表面の部分をいいます。

 皮質下出血は、部位によって症状が異なります。
 図4の症例では左の前頭葉の障害により、右上下肢の運動麻痺が出現していました。

 なお皮質下出血は、“高血圧性脳出血以外”の脳出血のアミロイドアンギオパチー*1脳動静脈奇形*2が原因の脳出血が多く見られます。
 また皮質下出血では、けいれんの可能性を念頭に置く必要があります(詳細は後述)。

*1【アミロイドアンギオパチー 】=脳表近くの血管にアミロイド蛋白が付着し、血管壁の脆弱化が起こる疾患のこと。沈着が高度になると血管が破綻し、出血が起こる。アミロイドアンギオパチーは高齢者に多く、年齢とともに増加し、比較的短時間に再発を繰り返すことがある。また、アルツハイマー型認知症を合併することもある。MRI(T2強調像など)の検査で鑑別される。

*2【脳動静脈奇形(arteriovenous malformation、AVM)】=通常、動脈と静脈の間には毛細血管があるが、脳動静脈奇形は毛細血管がなく、nidus(ナイダス)と呼ばれる拡張・蛇行した血管の塊が見られる(図5)。脳動静脈奇形は20~40歳の若年成人に多いため、若年成人の脳出血では脳動静脈奇形を疑って、造影CTやMRI、脳血管造影などの検査を進めていく必要がある。

図5 脳動静脈奇形(AVM)

脳動静脈奇形(AVM)のCT画像
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4)脳幹出血の画像の見方

 図6-1脳幹出血の画像です。脳幹は中脳・橋・延髄から構成されますが、脳幹出血で多いのは橋出血です。

図6-1 脳幹出血(CT)

脳幹出血のCT画像

 責任血管は脳底動脈から分岐する橋動脈です。

 橋は意識や呼吸の調整などの役割があるため、障害されると強い意識障害呼吸障害を起こし、脳出血のなかで最も予後不良です。
 図6-1の症例では出血量が多く、強い意識障害と呼吸障害などが出現していました。

 また、橋には左右の運動を司る錐体路が通るため、四肢麻痺の症状が起こったり、嚥下中枢も隣接することから嚥下障害が出ることもあり(図4参照)、救命できたとしても大きな後遺症が残ります。

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