くも膜下出血を画像で理解するための基本を解説。CTのほか、脳血管造影、CTA、MRAの特徴や、くも膜下出血の重症度分類などを紹介します。

くも膜下出血とは?

●脳を覆っている「硬膜」「くも膜」「軟膜」の3つの膜(脳画像の読み方入門:図で学ぶ脳の構造参照)のうち、くも膜と軟膜の間に起こる「くも膜下腔」での出血を、くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage、SAH)といいます。

●くも膜下出血は3割が死亡、3割が麻痺や言語障害といった後遺症が残存し、たった3割しか社会復帰ができない重篤な疾患です。

●くも膜下出血の原因の約8割が“脳動脈瘤の破裂”といわれています。

脳卒中のなかでも出血性の病変ですが、脳出血との違いは何かといえば、くも膜下出血は「くも膜下腔を走行する主幹動脈に発生する脳動脈瘤からの出血」で、一方、脳出血は「主幹動脈から分岐した脳実質内を走行する細い動脈からの出血」となります。簡単に言えば、出血が起きている場所が、“脳実質内(脳出血)か”“くも膜下腔(くも膜下出血)か”ということになります。

●脳動脈瘤の好発部位は、主幹動脈から形成されるウィリス動脈輪周辺となります(脳画像の読み方入門:図で学ぶ脳の構造参照)。

●くも膜下出血の原因には、脳動脈奇形やもやもや病などの血管奇形からの出血と、交通事故や転倒転落などによる頭部外傷が原因となる外傷性くも膜下出血などもあります。

くも膜下出血の画像診断

1)中脳レベルのCTで鑑別される

 くも膜下出血が疑われるときに一番に選択される画像検査は、簡便であり、診断にも用いることのできるCTです。
 正常の場合、くも膜下腔は脳脊髄液で満たされており、黒く描写されます(図1-1)。
 一方、くも膜下出血の場合は、動脈瘤の破裂により血液がくも膜下腔を満たす脳脊髄液に混入するため、白く描写され、高吸収域を呈します(図1-2)。

図1-1 くも膜下の正常CT画像(中脳レベルのスライス画像)

くも膜下の正常CT画像(中脳レベルのスライス画像)

図1-2 くも膜下出血のCT画像(中脳レベルのスライス画像)

くも膜下出血のCT画像(中脳レベルのスライス画像)

 くも膜下出血のCT画像は、中脳レベルでの脳を水平断にスライスした画像を見るとわかりやすいです。中脳レベルでのスライスは、ウィリス動脈輪が存在する脳底槽やシルビウス裂の変化を見るのに適しているからです。

2)CT検査以外の画像検査

 CT検査でくも膜下出血と診断がされたら、治療方針の決定のため原因検索を行う必要があります。
 脳動脈瘤の有無や部位の確認、大きさや形状など血管の状態を詳しく調べる目的で、脳血管造影CTA(3次元CT血管造影)MRA(磁気共鳴血管造影)などが行われます(表1)。

表1 くも膜下出血で行われるCT以外の検査

脳血管造影(digital subtraction angiography、DSA)
●破裂部位や血管の状況などを把握するために行う
●カテーテルを用いて行うため、侵襲的であり、入院で行うことが多い
●合併症として、穿刺部位の血腫、造影剤によるアナフィラキシーショック、カテーテルによる血管損傷などが挙げられる

CTA(CT angiography)
●血管など含め頭蓋内を立体的に把握できる
●DSAと比較し低侵襲である
●ヨード造影剤を用いるため副作用に注意が必要

MRA(MR angiography)
●造影剤が使用できない患者に行う
●ペースメーカーなど体内金属がある場合はできない場合もある
●脳ドックで動脈瘤などのスクリーニングとして行われる

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●くも膜下出血の症状と特徴的な所見とは?
くも膜下出血の症状やメカニズム、初期対応などについて紹介しています。

くも膜下出血の画像の見方

 図2は中脳レベルのスライスです。脳底槽・シルビウス裂にかけて白く描写され、くも膜下出血の所見が認められます。出血の原因となった破裂動脈瘤周囲は特に厚く描写され、責任血管の位置をある程度推察することができます。

図2 くも膜下出血(CT)

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